書評books 礼拝の形と宣教に向き合い続けた尽力と成果の結晶
『賛美と礼拝セミナーBOOK』
小坂忠・小坂高叡華著
A5判168頁 定価1,650円(税込) いのちのことば社
カナン・プレイズ・チャーチ主任牧師 リバーワーシップスクール校長 長沢崇史
日本において福音が浸透していかない一つの大きな要因に「教会内文化」がある。歌われている賛美歌や、当たり前のように使われている言葉、いわゆる「クリスチャン用語」と言われるもの。社会生活ではあまり目にしないような独特の距離感や文化。それらが時に教会を「別世界」のイメージに作り上げてしまっているのは否定できない。
もちろんそれらがすべて悪いわけではない。素晴らしい文化もたくさんあるし、それに惹かれる人もいるだろう。しかし本当に日本に福音が伝えられ、真理が開かれていくためには、普段の生活に密着していることは必須である。
本書はそんな教会音楽と礼拝、賛美の「形」に向き合い続けた忠師・叡華師の尽力と成果の結晶である。
また、具体的な礼拝の実践やワーシップチーム作りに関しても、お二人が向き合ってきた経験を踏まえ、みことばを用いて解説している。日本の教会は海外に比べると規模が小さく奉仕者も少ない。だからこそ一つ一つの役割と奉仕の重要性を再確認し、賜物を引き出し、人材を育てていかなければ、礼拝音楽は衰退の一途を辿る。リーダー、奉仕者の選考要素、選曲、音響や映像などの効果、集会の目的や企画など、ミュージシャン・プロデューサーとしても第一線で長く活躍されてきたお二人だからこその観点やアドバイスがふんだんに盛り込まれている。驚いたのは効果的なコードの流れやテンポの繋ぎ方等、ここまで具体的に語ってくれるワーシップセミナーブックは見たことがない。
私自身三十年以上賛美の働きをし、またワーシップスクールの校長を務める者として、世代による音楽文化の違いに何度も向き合わされてきた。若者が馴染む音楽も年配層が親しんでいる音楽もある。どちらかを否定し、変えようとすると、摩擦や衝突が生まれ、多くの若者は教会を離れていった。変えるのが難しいなら「広げる」しかない。伝統には良いものもあるが、縛られ過ぎると因習になる。各世代がお互いの文化を受け入れ、寄り添い合うことなしに礼拝の刷新と宣教の前進はないだろう。礼拝と宣教に本気で向き合う方に是非本書を手にとっていただきたい。