書評books 厳しくも、愛に満ちた道案内
『主イエスに従う道 終末時を旅する神の民』
J・ハインリヒ・アーノル著
後藤敏夫・平野博文・平野良子共訳
四六判・328頁 定価2,860円(税込) いのちのことば社
シオンの群教会 牧師 吉川直美
本書は「厳しい書である」。まえがきを寄せたヘンリ・J・М・ナウエンはそう書き出している。しかしその厳しさは、人を遠ざけるためではなく、引き寄せるためにある。
著者J・ハインリヒ・アーノルト(一九一三~一九八二年)は、神学者ではなく牧者だった。ナチスへの兵役を拒否し、ブルーダーホーフ―山上の説教と使徒の働きに基づく財産共有の共同体運動―の長老として四十年間、数えきれない人々の魂に寄り添った。本書は、その歳月から生まれた手紙・講話・省察の集成である。
序文者クリストファー・ツィマーマンの言葉を借りれば、本書は「弟子になることについて、開かれた心でキリストに従うことを学ぶための書物」である。良い意志を行動に移せない人間の弱さから出発し、悔い改め・共同体・赦しが切り離せないことを、説教的修辞ではなく経験の言葉で語る。繁栄の神学や安価な恵みが蔓延する今日、預言者的な声が新鮮に響く。
本書を論評しようとするとき、評者は奇妙な壁にぶつかる。著者の言葉はその生き方と不可分であり、言葉だけを取り出して論じることに、どこか後ろめたさが伴うからである。ナウエンが「すべての言葉は経験から生まれている」と述べたとおり、本書は、テキストである前に証言である。財産を手放し共同生活に身を投じた著者の言葉は、読者の現実との間に静かな距離を生み、言葉が届く前に立ち止まらせてしまうことがある。しかし、その困難を正直に抱えたまま、本書を開いてほしい。問われているのは生活形態ではなく、どこに生きる者にも等しく突きつけられる献身の質である。訳者が示したように、本書が今日の教会に語りかけているのは「生ける神への立ち返り」である。
一見、相反するようにも見えるが、ナウエンが、そのままで神に愛されているという出発点を与えてくれるとすれば、アーノルトは、その愛がどこへ向かうかを問う。二者は対立しない―後者が前者の上に立つとき、弟子の道は律法でなく恵みになる。初の邦訳である本書を、その緊張の中で手に取ってほしい。