書評books 聖書のことばに生きることを励ます

『テサロニケ人への手紙第一講解 神の教会を建て上げるために』

『テサロニケ人への手紙第一講解 神の教会を建て上げるために』
森清著
B6判
定価990円(税込)
いのちのことば社

日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会 牧師 西村敬憲

 赤江弘之牧師による、いのちのことば社からの五冊目の著作です。まえがきにあるように、執筆はこれまでの心臓の疾患に加え、腹膜透析が始まる中で進められてきました。その中で一七〇頁を超える執筆は説教原稿をもとにしているとはいえ、大変な労力を必要としたはずです。それは著者が「神のことば」を語り、そこに教会を建て上げようと生きてきた情熱があったからです。
 ですから本書は、パウロ書簡を丹念に読み、礼拝で語るとともに、著者が今日まで五十五年にわたって牧会する西大寺キリスト教会での経験が重ねられているところに特色があります。まず、テサロニケ人への手紙の読み方としては一般的で平易であり、安心して読むことができます。語り口も、教会を建て上げる神の働きに目を向けられるように丁寧です。そして、テキストからさらに教理へ話題が広がることも多く、平易でありながら、深い思索を味わうこともできます。
 また随所には、著者の牧師としての経験がパウロのことばと出会って姿を表しています。「信じる者のうちに働く神のことば」の章で、神のことばとして説教を正しく聞く大切さが語られ、そのために教会では「自立した信仰を養うために」(本文五五頁)、成人科クラスが五十年間継続されてきたことが紹介されています。
 また「神に愛され、選ばれている兄弟たちの福音宣教」の章では、教会の深い痛みとなった水難事故について「試練と苦難に対する教会内外からの多くの祈りの結晶が、その後の教会の歩みの原動力となっていることを決して忘れることはできません」(二六頁)と告白し、さらに「神の福音を委ねられたものの姿」の章では、「激しい苦闘」の経験として「かつての所属教団離脱」にも触れています(三八頁)。そのほかに多くの経験の証言によって、教会形成がどのように聖書に照らされてきたのかを考えることができるでしょう。
 地方教会で信仰者を励まし続け、教会を建て上げてきた誠実な説教の結実と言えます。