時代を見る眼 379 震災を越えて、今〔1〕 福島から
思いもしなかった未来の中で
福島第一聖書バプテスト教会 主任牧師 佐藤 将司
昨年末、温泉に浸かりながら佐藤彰先生としみじみ話しました。「いやぁ、まさかこんな未来が待っているとは思いませんでしたね……」、「あの時、教会を閉じないで良かったですね……」と。それは、教会の牧師3名とそれぞれの家族、伝道師、インターン中のスタッフ夫妻、宣教師3名との、一年の感謝食事会の後のことでした。
15年前、東日本大震災の後、4つあったチャペルをすべて失い、教会員のほとんどは日本各地に四散し、当時の主任牧師の佐藤彰先生と副牧師だった私と伝道師は、これからの教会について話し合い、65年の歴史に幕を下ろすことも真剣に考え話し合いました。しかし、多くの祈りに支えられ、ただ主のあわれみと導きによって歩み続けることをゆるされ、今はあの時思いもしなかった未来の中を生かされています。
教会のメンバーや活動などは大きく変わりましたが、震災前も震災後も変わらないことの一つは、“教会は他の誰でもなく、主ご自身の教会である”ということ。
私たちはどこに行っても礼拝を大切にし、ただガムシャラに、主が造り開かれる道を走り続けるばかりでした。しかし新しいことをされる主は、欠けだらけの私たちをも用いてくださり、地域に根差し、地域の方が自然と気軽に足を運ぶ教会としてくださいました。
私たちの役目は、主の御声を聞き、ただ主が用いやすい教会であり続けることなのだと学び続けているように思います。
「見よ、わたしは新しいことを行う。今、それが芽生えている。あなたがたは、それを知らないのか。必ず、わたしは荒野に道を、荒れ地に川を設ける」(イザヤ書43・19)
それにしても、多くの別れと出会いを経てここまで歩んできました。皆が痛んだ震災でしたが、さまざまな「壁」が壊れたように思います。そしてそこには新たなつながりも生まれました。
福祉の世界には“専門職が作っている壁”があり、その壁を越えて協働し、地域共生社会を作ることが今求められているという話を、最近聞きました。震災から15年が経ち、私たちもいつの間にか再び“専門職の壁”を作ってしまうことのないように、主の導きに従いながら、与えられた出会いを大切にし、いつも初心に立ち返って歩んでいきたいと思わされています。