連載 New Life, New Light 第10回 写真の力
フォトグラファー
辻まき子
三重県在住。東京基督教大学卒業。photo studioハナレ所属。2016年からニューボーンフォトや家族やプロフィール撮影を中心に、その人らしい自然な姿を残せるよう心掛けて撮影しています。
Instagram@maccopiでは日常の写真もご覧いただけます。
前号では、写真を贈り物として選んでいただいたご夫妻をご紹介しました。今号では、その贈り物を受け取られた大井ご夫妻の言葉をお届けします。
撮影は5年半前。ニューボーンフォトは初めてというご家族でしたが、自宅という安心できる場所で撮影させていただきました。
「娘は母の胎にいた頃、エコーを撮ってもらうと、顔に手をあてて隠れていることが多かったです。ニューボーンフォトで布に包まれている娘を見たとき、まさしく頬の近くに手をあてていて、胎の中での姿を直接見ることがかなった気分になり、感動しました」と大井さん。
ニューボーンフォトが、生まれる前の記憶にふれる機会であることを教えていただきました。
「写真のすごいところは、1枚の静止画なのに、見ていると当時の情景が鮮やかに浮かんできて、その時の雰囲気や会話まで思い出され、まるで映像のように感じられるところだと思うのです」とも。
そして、大井さんは、贈ってくださった林さんご家族、大井さんご家族、私との関係性を心から喜んでくださり、「娘のための記念写真というだけでなく、あの日のすべてが私たち家族の人生の宝となっている」と語ってくださいました。
実は、私が撮影で大切にしたいことは、美しい写真を残せること以上に、そこにおられる皆さまが安心して楽しんで過ごせることです。ですから、そう言っていただけたことが何よりの励みとなりました。
あの日の時間が、これからも豊かな記憶でありますように。