連載 New Life, New Light 第9回 贈り物としての撮影
フォトグラファー
辻まき子
三重県在住。東京基督教大学卒業。photo studioハナレ所属。2016年からニューボーンフォトや家族やプロフィール撮影を中心に、その人らしい自然な姿を残せるよう心掛けて撮影しています。
Instagram@maccopiでは日常の写真もご覧いただけます。
5年半前の冬の日。ニューボーンフォトの撮影を出産祝いとして贈ってくださったご夫婦がいらっしゃいました。
物ではなく、思い出を贈るという選択。大切な人への贈り物として写真を選んでいただけることほど嬉しいことはない……と胸が熱くなりました。
「新生児期は本当にかわいい時期だけれど、大変でもあり、本当にあっという間。だからこそ、あとから何度でも見返すことができる写真は、何よりのプレゼントになると思ったんです。」そう語ってくださったのは、贈り手である林さんご夫妻。ご友人に2人目のお子さんが生まれると知り、私のことを思い出されたそうです。
撮影の日には、ご夫妻もご一緒に。温かな時間を分かち合うことができました。林さんはこの日を振り返り、こう語ってくださいました。
「命の誕生の喜びや感動が、写真の撮り方や工夫によって、より神秘的に収められ、素敵な新居、かわいいお兄ちゃんとの2ショット、家族のいろんな描写や表情。それが形として残せたことが最高の贈り物になったと実感しました。改めて、写真というのは、単に一瞬を記録するものではなく、その中に写る人の人生の一場面、家族の想いや祈り、そしてカメラマンのまなざしや技術、そのすべてが凝縮された、ひとつの“作品”なんだと感じました。」
おふたりは、私にとって大切な友人です。撮影を通して新たな出会いが生まれたこと、また緊張感も伴う撮影において、とても細やかに配慮をしてくださったことも心より感謝しています。
次号では、贈られたご家族の眼差しをたどります。