特集 『カラー新聖書ガイドブック』コラムさわり読み

『カラー新聖書ガイドブック』の改訂新版では、新しい執筆陣によるコラムも加わり、より多角的な視点からの解説がなされています。新コラムの中から、女性の役割、格差と社会的正義に焦点を当てたコラムを一部抜粋して紹介します。続きはぜひ本書で!

 

コラム「マグダラのマリア」(一部抜粋)
マグダラのマリアは、イエスの働きと死と復活について、きわめて的確な証言をすることができた人物である。
マリアはイエスによって変えられた女性で、イエスは彼女から七つの悪霊を追い出している。(中略)癒やされた後、マリアはイエスとイエスの弟子たちとともに旅をした。マリア以外にも、イエスを信じる女性たちが同行し、その宣教の働きを支えていた。それらの女性の名が幾つか出て来る箇所では、いずれもマリアの名前が挙げられ、先頭に挙げられていることも多い。これはおそらく、女性たちの中で指導的な立場にあったことを示しているのだろう。マリアはイエスの奇跡を見、イエスの説教を聴き、イエスの教えから多くの益を受けていたと思われる。
マリアには、幾らかの財があり、それをイエスのために使った。女性たちはイエスやイエスの弟子たちの実際的な身の回りの世話をしていただけでなく、彼らの旅のための資金も提供していたのである。……(六三〇頁より)

 

コラム「新約聖書における貧富」(一部抜粋)
……人口のわずか・一~二%が富裕層と見なされていたのに対して、人口の七〇~八〇%は貧困ラインのぎりぎりで生活をしていた。(中略)神を唯一の希望として頼った貧しい者をイエスは祝福された(ルカ6・20、マタイ5・3)。人々に向かっては、地上にではなく天に宝を蓄えるように呼びかけられた(ルカ12・33、マタイ6・20)。弟子には、日ごとの糧のために祈るように教えられた(ルカ11・3、マタイ6・11)。施しをするように(マタイ6・1~4)。物乞いにも与えるように、ただし必ずしも物乞いが欲しがったまさにそのものを与える必要はないが(ルカ6・30、マタイ5・42)。
イエスのたとえ話の多くは、金銭や財産に関するものだった。最も目を引くのは、大豊作を収穫した富農が、その収穫のすべてを自分のためにとっておこうとしたために叱責された話である(ルカ12・16~21)。ある金持ちは、家の前にいた貧しい瀕死のラザロを毎日無視していたために、来世で取り返しのつかない運命で苦しむことになった(ルカ16・19~31)。……(七四一頁)