書評books 百歳になっても悩んでいてください
クロスワード制作者・エッセイスト もんこ
『信じてたって悩んじゃう 神様、これってどうなんですか?』
みなみななみ 著
B5判・98頁
定価1,430円(税込)
フォレストブックス
私がななみさんの著作『信じてたって悩んじゃう』を読んだのは、三十代後半、求道者の時でした。その頃、教会に出入りしながら「こんな私がクリスチャンになっていいのか?」と心底、悩んでいた時期です。
当時の私は、考えること、感じること、すべてが暗く、重くなる傾向にありました。そんな時、ななみさんの本と出合い、目の前がサーッと明るくなるような、同じ地元出身者と会ったような安堵感があったのを忘れられません。「よくぞ言ってくださった」「よくぞ、その問題に光を当ててくださった」、膝を連打しつつ、「私だけじゃない」、心からそう思えました。そして私はクリスチャンになっていました。
そんなななみさんの新作『神様、これってどうなんですか?』が発売される。期待しないわけがない。これは「百万人の福音」に連載されていたものをまとめたもので、連載中、「百万人の福音」が届くと、ビニール袋をバリバリと開き、最初にななみさんの連載を、まさに貪るように読んでいた。ああ、相変わらず、いつものななみさんだ。妙にうれしく、ホッとしたのを覚えている。
そして、この連載は、ななみさんのルーツであり骨頂でもある、お悩み系。それにしても、ななみさんも私も、年齢としてはもう充分に中年。いや、初老の域かもしれない。それなのに、ななみさんは若い頃と変わらず、悩み、煩悶している。決して悟ったり、諭すような語り口になっていない。いや、むしろ、若い頃より悩みは広く深く、多岐にわたり、さらにワールドワイドになっている。このお悩みの成長は、お見事と言うほかはない。そして私は、またあの感覚を思い出した。「私だけじゃない」
ななみさん、これからも、悩んでいてください。人生百年時代。百歳になっても悩んで、作品を発表してください。私のために、「私だけじゃない」と感じ、ホッとしているあらゆる人のために。こんな私たちさえ愛しいと伝えたい、神様のために。