書評books 徹頭徹尾みことばから聴く
東京基督教大学特別教授・市川福音キリスト教会代務者 山口陽一
『福音伝道の喜び みことばから学ぶキリスト者の使命』
朴永基 著
A5判・160頁
定価2,200円(税込)
いのちのことば社
この本には四七三か所もの聖句が引用されています。「みことばから学ぶキリスト者の使命」という副題のとおりの構成です。そこで年末年始、デボーションで、妻と共に一章ずつ朗読しました。
朴永基牧師は一歳年上の先輩です。釜山で牧師になった後、宣教師として日本に派遣され、東京基督神学校に学びました。私は入れ違いで卒業しましたが一か月だけ寮生活を共にした縁で、釜山での宣教師訓練会の講師として招いていただくなど、若い頃から厚誼を得ています。
朴牧師はその後、東京で二つの教会を設立し、北海道で七つの教会を設立しました。そして釜山で高神世界宣教会長として三年間仕えます。そこでコロナ・パンデミックに直面し、これからの宣教について祈り求めているという便りがありました。本書はその一つの結実です。
朴牧師は「福音を宣べ伝えることは教会の本質であり、使命です」(一二頁)と語り、福音を宣べ伝えるのは真の教会になるためで、福音を宣べ伝えなければ教会に未来はないと言い切ります。引かれる聖書のことばはどれもよく知っているもので、朗読するとき、主が語り続けておられることを実感しました。なぜキリストは来られたのか、クリスチャンの使命、伝道しない言い訳、初代教会に学ぶ伝道の喜び、社会のために生活を通して宣教する。それぞれをみことばに耳を傾けながら思い巡らすことができます。福音とは何か、なくてはならない祈り、家族伝道と信仰継承、パーソナルな伝道、訓練と実践などを徹頭徹尾みことばから聴くのです。
どうしたら伝道がうまくゆくか、リバイバルの秘訣、効率的な伝道などを知ろうとして本書を手にされてもよいと思います。しかし読み進めると、神について、キリストの福音について、聖霊と教会について、本質をとらえること、みことばに従うことに導かれます。
朴夫妻と教会がどのように歩み、どのように祝福を受けているかを知る者にとって、答えはこんなにも近くにあるのだと頷かされる本でした。できれば朗読をお勧めします。