書評 Books 聖書と日本語への愛

日本基督教団・横浜指路教会 牧師 藤掛順一

『聖書から出た日本語100』
米川明彦 著
B6判・定価1,650円(税込)
フォレストブックス

聖書から出た日本語の言葉と成句を集めて解説している本書の著者は、梅花女子大学の名誉教授、日本語学、特に俗語研究の第一人者であると同時に、教会の牧師として三十五年余り伝道してこられた方である。聖書(神)と日本語(日本人)への深い愛が本書には詰まっている。
語られているのは単なる意味の解説や訳語の変遷の紹介ではない。日本語になっているこの言葉は聖書にあったんだ、という驚きへと読者を導くとともに、その言葉に込められている聖書の信仰の根本が短くて的確なメッセージによって語られている(たとえば、ダントツに長い「神」の項)。日本語を話し、日本語で考えている人々に、聖書の世界とその恵みを体験してもらいたいという願い、つまり伝道への熱意が本書には込められている。
と同時に本書は、聖書の信仰に生きている人々に、その信仰を日本語で言い表すことについて真剣に考え、学ぶことを促している。日本の伝道は日本語でなされている。教会が、伝道者が、信徒が、どんな日本語で信仰を語っているかによって、伝道は左右されるのである。日本語を愛することは日本人を愛することである。その愛から伝道が始まる。本書は私たちを、日本人を愛し、日本人に信仰を伝えることができる言葉を獲得するために日本語を大切に学ぶことへと促している。
ところで著者は、NHK番組「チコちゃんに叱られる」に出演なさったことがあるそうだ。本書は、聖書から出た日本語の言葉について「ボーッと生きてんじゃねーよ!」と私たちに語りかけている。そう言えば、あれの英語は「Don’t sleep through life!」だ。それは「眠っている人よ、起きよ。死者の中から起き上がれ。そうすれば、キリストがあなたを照らされる」(エペソ5・14)から来ている、とは言えないまでも、この聖書の言葉とつながっていると言えないかな、と本書を読みつつ思った。