特集 子どもたちと楽しめる絵本 子どもたちに語る「カラフルな言葉」

心が柔らかい幼少期、どのような絵本に触れるといいのか―

子どもたちといっしょに楽しめて、心を育むような一冊をこの春、贈ってみませんか?
絵本作家の方々の声を、新刊絵本の内容とともに一挙ご紹介します!

キリスト教出版社The goodbook代表
絵本作家  ティム・ソーンボロー

子どものために物語を書くのは、チャレンジそのものです。中でも動物が登場するお話には、特に難しいテーマが背景にあります。

たとえば、一見楽しい「ノアの箱舟」(創世記六~八章)は、実は人間の罪と悪に対する神の裁きがテーマ。

今回、日本で発売になった『おこりんぼうのヨナ』のテーマもまた、神の裁き。加えて、預言者ヨナ自身の他国の人々に対しての差別感をも浮き彫りにしています。神の憐れみと赦しは、預言者ヨナが心から軽蔑していたニネベの人々にまでも行き渡るということを、ヨナは、いやがおうでも神から教えられたのです。

ヨナの物語が神の裁き、人種差別に触れることなく語れるなら、こんな楽なことはありません。実際、中には裁きのテーマに触れないで書かれた絵本もあります。けれども、書き手が神の言葉に忠実でありたいと願うなら、どうにか子どもたちにわかりやすく、しかも対象年齢相応に、聖書の真理を表現する方法を生み出さなければならないのです。
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『おこりんぼうのヨナ』、『とってもうれしいイースター』は、十冊からなるシリーズ「The Very Best Bible Series」の一部ですが、シリーズ全部を書きはじめる際に、五つの原則を自分自身に課しました。

以下に列記してみました。みなさんの中にも、聖書のお話を子どもたちに聞かせる役割を持つ方たちがおられるはず。お役に立てれば幸いです。

1「忠実に」─聖書箇所が何を語っているかを、とことん掘り下げる。それからはじめて子どもたちの年齢と成長段階を絞り、どのように表現したらよいか練る。

2「歴史的視点」―子どもの世界には想像と幻想的な物語があふれているので、聖書がそれらとは異なる種類のストーリーであることを強調。子どもに話をする際は最初に「これは聖書に書かれている本当の話です」と前置きをする。

3「ドラマチックに」―面白い話には緊張感、危険や問題解決等の難題などが必ずある。子どもたちが緊張感を感じるように語るのが肝心。問題解決の場面では子どもたちが、ほっとし、安堵感が感じられるように。

4「多彩なイマジネーションを」―子どもたちのイマジネーションが膨らむようなカラフルな言葉を選び、場面が目前にイキイキと迫るよう工夫する。

5「笑いを誘う楽しさを」―子どもたちは笑うのが大好き。聖書の中の面白おかしさを見直す。お話をする時や、絵本を読み聞かせる時は、作り声なども駆使。お話の主人公の失敗を愉快に指摘し、人間らしさを倍増させることも大切。

大人は、子ども向けの聖書物語に真剣に取り組む必要があります。そして、聖書の話をことさら面白く興味深く、効果的に伝える努力を惜しんではなりません。なぜなら、子どもが大好きなディズニーやスタジオ・ジブリなどが、実は競合相手だから。大手アニメ会社はプロ独特の洗練した技術を駆使してパワフルな物語展開を仕掛け、深い感動を演出します。

しかし、私たちが聖書にそって忠実に語る時は、神の霊がこもることを忘れてはなりません。感動を呼び起こすだけでなく、人々が救われ、永遠のいのちに、つながっていくのです。

好評発売中


『とってもうれしいイースター』
ティム・ソーンボロー 文
ジェニファー・デイヴィソン 絵
山形優子フットマン 訳
定価840円(税込)

『おこりんぼうのヨナ』
ティム・ソーンボロー 文
ジェニファー・デイヴィソン 絵
山形優子フットマン 訳
定価840円(税込)