書評Books 人生を一変させるキリストの愛

        お茶の水クリスチャンセンター理事長
太平洋放送協会名誉会長/日本ホーリネス教団引退牧師 村上宣道

『愛は勝利です
キリストの愛が織りなす奇蹟の人生』
池田登喜子 著
B6判・定価1,980円(税込)
いのちのことば社

 

「事実は小説より奇なり」とは、イギリスの詩人バイロンの作品『ドン・ジュアン』の中の一節から生まれた表現とされているが、この『愛は勝利です』は、キリストの愛が織りなす、まさに小説をはるかに超えたリアルな奇蹟の人生そのものの証しとして、これ以上ない説得力をもって読者の心に迫ってくる。そして読む者をして、震えるような感動とともに「ただひとり、大いなる不思議を行われる方」をほめたたえずにはいられないものとする書である。

著者は、チリ紙交換の働きをしながらの開拓伝道から、いまや広大な敷地も有し、地域への支援活動やスポーツミニストリーなども伴う幅広い宣教活動の展開で注目されている本郷台キリスト教会を支えてこられた牧師夫人。少女時代には、環境的にも心身的にも生きることに絶望するほかない日々を過ごしていた彼女が、キリストとの出会いから一変した奇蹟の数々を経験するに至った人生を、結婚五十周年を機に、この神の愛と恵みが一人でも多くの方々に注がれますようにとの願いから書き綴られたのが本書。

ご夫君の池田博牧師の「右足の大腿骨が瞬時に癒やされた登喜子の半生を思いめぐらすたびに、また、悩む方々が、登喜子を介してイエス様に出会い、希望を持って歩み直すさまを目のあたりにするたびに、人生には、決して絶望はないのだということを思う。だれもが神様の素晴らしさを表すことができるのだ」と語ることばが、本書全体のメッセージとして伝わってくる。

さらに、本書を通して知りうる素晴らしさは、キリストの愛によってもたらされる奇蹟が、単に個人の肉体的な癒やし、または一過性のものにとどまるのではなく、連鎖反応となって家族の中に、伝道と教会形成の中に、増殖拡大されていくという事実。そしてどんな困難も、やがてそれが祝福の媒体として変えられていくことを悟らされ、やはり「愛は勝利です」と自らもそう告白するに至ることが、本書を読む者の特権と言える。

人生に愛の奇蹟を期待する、一人でも多くの方々の必読を、心よりお勧めしてやまない。