329 時代を見る眼 コロナ禍の介護〔2〕 感染者への介護

グループホームみくに 代表
菊谷利昭

 

2020年の春先から日本に上陸した新型コロナウイルス感染症は、介護の現場を変えてしまいました。

ウイルスを持ち込まないようにと職員は絶えずマスクで口を覆い、それまであった人の往来は家族も、ボランティアや地域住民の方々との交流もパタッとなくなりました。

感染だけは避けたいとの一心で、職員にも行動制限を設けてどうにか一年を無事に乗りきった矢先に、感染者が出てしまいました。

一職員から入り込んだコロナウイルスは瞬く間にそのユニットの職員2名、利用者様5名に感染し、クラスターに至りました。

感染した職員3名のほかにも老いた親の介護をしている職員、幼児を抱える職員など、さらに4名が戦線を離脱してしまい、10名で回していたユニットをこの後どうやって手当てしていくかに悩みに悩みました。

それでも感染を覚悟で他のユニットから3名の職員の応援を得て、6名の体制で行うことができましたが、この人数で休みもなく、しかも認知症で徘徊される利用者様もおられるので、さらに感染が広がるリスクを考えると長丁場は無理と保健所も危惧され、感染者の方には入院の処置がとられました。

崩壊寸前と言われたコロナ病棟の最前線の医療現場とは比較にならないかもしれませんが、感染者の介護に防護服をまとってもソーシャルディスタンスはなく、職員の間でも体調に少しでも異常を感じると自分も感染したのでは?と昼夜を問わず、感染の不安を抱えながら介護にあたってくれた職員の心中はいかばかりかと推察します。

感染者が発生してから18日目にして、5名のうち4名の利用者様が入院となりました。

1名を残し、ユニットに感染者がいなくなると、張り詰めた状態から一転して以前の落ち着いた空気が流れるようになりました。

しかし、病院ではコロナと必死に戦っている利用者様がおられます。結局、このコロナによって3名の利用者様がお亡くなりになりました。

基礎疾患が死因とはいえ、コロナに罹患しなければ、まだまだこのグループホーム「みくに」で平穏に暮らすことができたであろうと思うと、無念でなりません。
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最終回は、「コロナが残したもの」という内容でまとめたいと思います。