書評Books クリスマスの喜びが広がります

イムマヌエル綜合伝道団・インマヌエル深川キリスト教会 副牧師 川嶋範子

 

『教会・幼稚園・保育園用 クリスマス児童劇セレクション』
小松原宏子 脚本
B5判 1,500円+税
フォレストブックス

コロナ感染拡大のニュースを聞きながら、「いつものクリスマス」が遠のき、途方に暮れます。私たちのCSも例年オペレッタの練習が十月スタートなのですが、今年はできません。このようなタイミングで本書が出版されたことは、たいへん心強く、感謝があふれます。

本書は、降誕劇二種類、「くつ屋のマルチン」「クリスマス・キャロル」、オリジナル「かけをしたふたりのおはなし」の五編で構成されます。対象は園児から大人まで。園児用降誕劇は、総ひらがな表記、他の台本もすべて演出・解説に至るまでふりがながふってあります。

劇として演じる場合、何役あるかは大切です。園児用降誕劇は十八役、小学生以上用降誕劇は十二役、くつ屋のマルチンとクリスマス・キャロルはそれぞれ十役、大作の「かけをしたふたりのおはなし」には二十六役が登場します。実情に合わせ、配役調整は可能でしょう。

長年にわたり、子どもたちのために家庭文庫を開き、多くの児童文学を世に送り出しておられる著者の視線は温かく、時としてユーモラスです。そして劇集を貫いているテーマの一つが、弱い者をお用いになる神様の慈しみではないかと思います。貧しい羊飼いは最初の礼拝者になり、「わたしはいつだって、ひとりぼっちだ」(四九頁)と言うマルチンは、困窮している人たちを助けるおじいさんになりました。

「クリスマスにはだれにでもイエス様の愛が注がれるって……神様、スクルージさんがあったかいクリスマスを過ごしていますように」(四〇頁)。ティムの台詞は、スクルージの胸を打ちました。御座から飼葉桶に、小さな弱い赤ちゃんとして救い主イエス様がおいでくださったクリスマスが、そのまま反映されているかのようです。

練習を重ね、衣装や舞台を用意し、お客さんを迎え、演じるのは到底無理な二〇二〇クリスマス。でも、この台本があれば、オンラインで、録画で、読み聞かせやペープサートで、クリスマスの喜びを広げることができそうです。