野の草を見つめながら 第5回 道ばたのハルジオン 

フォトグラファー 市川五月

今月の表紙の花は、きっと日本人なら誰もが目にしたことのある花だと思います。
そう、ハルジオン(春紫苑)です。
ハルジオンは、秋に咲くキク科のシオン(紫苑)に見立て、春に咲くということから、ハルジオン(春紫苑)と名づけられたそうです。
5?8月に咲く花で、一部の地域では「貧乏草」と呼ばれており、花を折ったり、摘んだりすると貧乏になってしまうと言われているそう。なぜって感じですが。
貧乏草の由来は「どんな貧乏な家の庭にも生える」「手入れをされた庭には生えず、手入れの行き届かない貧乏な家の周囲に生える」などの説があるそうです。
つまりそのくらい生命力も強く、そのようなところから、雑草として扱われてしまったのではないかと思います。
私は5月の気候が大好きでよく散歩をするのですが、ハルジオンは、素朴さがありつつも雑草としての力強さも感じ、好きな花です。花言葉を調べてみると、「追想の愛」でした。
なかなかふだん使わない言葉なので、あまりピンときませんでしたが、「追想」というのは過去を思い返してしのぶことで、「追想の愛」とはつまり、過去の愛を思い返してしのぶことになります。
道ばたに生えているハルジオンの花言葉には、昔の過ぎ去った愛を思い返すという意味が込められているのですね。
聖書でいうなら、これまで与えられた神さまからの恵みや初めの愛を思い返すということでしょうか。私たちを愛するがゆえに、イエスさまを十字架にかけて死なせ、罪を赦してくださった神さまの愛。しかも、それは過ぎ去るどころか、ずっと注がれている変わらぬ愛です。
道ばたでハルジオンを見かけたなら、神さまがこれまで与えてくださった大きな愛や恵みを振り返ってみてはいかがでしょうか。
もしあなたの心が貧しい庭のようになっていても、追想の愛の花で満たしてくださる神さまの御業に目を留めてみてください。
「心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人たちのものだからです。」(マタイ5:3)