書評Books キリスト教絵画と聖書の深い結びつき

日本同盟基督教団 大分恵みキリスト教会 牧師 岡山敦彦

『巨匠が描いた聖書ベストセレクション』 町田俊之 編
B5判 2,500円+税 フォレストブックス

私事ながら、『信仰の眼で読み解く絵画』(いのちのことば社発売)をシリーズで七冊出版しています。ⅠとⅡで推薦文を書いてくださったのが、町田俊之先生です。今回、先生の著書の書評を書くことを大変光栄に思っています。
私の著書で取り上げた画家と絵画の大半が、この本と重なっています。一三世紀のフィレンツェのジョットから二〇世紀のロシア人のシャガールまで、画家たちが描いたキリスト教絵画の代表的な絵が取り上げられています。
カトリック教会や東方教会では絵画が重要視されているのに比べ、日本のプロテスタント教会では聖画が教会内で取り上げられ、話題となることは少ないと思われます。
町田先生が日本のプロテスタント教会で、特にヨーロッパのキリスト教絵画についてその重要性をアピールし、様々な活動をしておられることには大きな意味があります。編集にあたって、「聖書」と「作品」と「画家」を関連付けておられます。
東京の美術館を中心にキリスト教絵画の特別展が開催され、開館前から長蛇の列となっています。ノンクリスチャンの方たちは、どれだけ聖書のことを理解されているでしょうか。キリスト教を理解するうえで、聖画は重要な切り口です。そのためにも、私たちクリスチャンは聖画を正しく理解することが求められています。クリスチャンは絵画から聖書への理解を深めることができます。また、絵画への関心が少なかった方たちに、興味を持つきっかけを与えるのがこの本です。
キリスト教徒の画家たちにとって、彼らの作品は「信仰告白」そのものです。信仰が絵画に決定的な影響を与えています。レンブラントは初期のころは、自分の名誉と生活のために描いていましたが、真の信仰をもってから彼の絵画は「信仰告白」となりました。たとえば「放蕩息子の帰郷」です。
読者にとって、この本はキリスト教絵画の入門書となり、さらに大きな信仰の扉を開いてくれることに間違いありません。