独特の力と味わいに、思わず時間を忘れてしまう

 

『バックストン著作集9、10巻
「使徒行伝講義」上下』
バックストン著作集編集委員会 編

各B6判 2,200 円+税
いのちのことば社

日本イエス・キリスト教団 神戸生田教会 牧師 大塚 篤

本書は、一八九〇年に来日、松江に定住して山陰伝道と伝道者の養成にあたり、その後、神戸を本拠地に日本伝道隊を設立、福音派の諸教会に大きな感化を与えたB・F・バックストン師の著書です。本書は、現代文に書き直されており、とにかく読みやすいです。本書には、独特の力と味わいがあり、聖書をかたわらに読み進むとき、深い霊的味わいと信仰的・実際的勧めの言葉に引き込まれ、思わず時間を忘れてしまいます。
聖書全体から、広い視野と深い霊的な洞察力をもって、一節ごと、あるいは数節ごとに解説されています。それは、単なる解説ではなく、霊的示唆に富んだ聖会のメッセージを聞いているようです。特に、祈りに専念し、深く神様と交わり、神様の声を聞き、御霊の導きに従うことの大切さが語られています。また、伝道者としての心構えや励まし、警戒すべきことが教えられています。
「使徒行伝講義」上では、使徒の働きの一章と二章に多くのページが割かれ、「聖霊の満たし」に与り、御霊の導きとご支配の中に歩むことの大切さが語られています。また、「使徒行伝講義」下では、世界宣教への道が開かれていったようすが、ペテロやパウロの伝道をとおして生き生きと書かれています。また、教会形成における示唆が多く与えられています。
バックストン師の教えを受け、共に働いた竹田俊造師は、バックストン師の説教について、「きわめて単純、きわめて単調、しかもきわめて荘厳、崇高であった。奥深く、底深く、天が開いて神の聖臨在が輝く。神の栄光を語る。主の栄光が展開される。恩寵の洪水が流れみなぎる。これが、聞く者の心を溶かし、砕く。心開かれて同化する」と述べておられます。
「聖化をぬきに宣教はなく、宣教に至らない聖化もない」と言われますが、本書は明確にそのことを語っており、宣教への熱情が読む者に迫ってきます。