主にある友情に結ばれて、愛し合い、仕え合う姿

『「キリストさん」と呼ばれて
―支援の現場から宣教を考える』
九州キリスト災害支援センター 編

A5判 1,800円+税
いのちのことば社

日本同盟基督教団 徳丸町キリスト教会 牧師 朝岡 勝

本書を貫いているのは「友情」です。中村陽志牧師による「神の摂理と友情」、横田法路牧師による「震災直後の一週間―友情を通して始まり、広がる災害支援ネットワーク」という二つの文章が、このことを見事に表しています。何と言ってもこの「中村・横田」コンビの友情が、多くの人々をさらなる友情の輪の中に迎えていったのだと思います。文中何度も引用される「互いに愛し合う」とのみことばが、九州キリスト災害支援センターの働きのあらゆる局面に現れていることを、読者は実感することでしょう。
この友情の輪の広がりと豊かさは、二十三名に及ぶ多彩な執筆陣にも表れています。熊本で被災された牧師たちの、困難の中で主と教会と地域に仕える姿に励まされます。被災地に駆けつけて支援態勢を作り上げていった各種支援団体の働き人たちの献身的な姿に心打たれます。そこでは支援者も被支援者も、信徒も牧師も、教会もNGOも、互いが主にある友情に結ばれて、愛し合い、仕え合う姿を示してくれています。
東日本大震災の経験がさまざまなところで言及されるのも印象的です。自らの経験を開く。愛を受けた者が分かち合う。愛された者として愛し合う。まさに被災地を結ぶ友情がそこに立ち現れているのです。
さらに本書の白眉は、次の災害に向けての貴重な示唆と提言が与えられていることです。優れた新約学者でもある横田牧師による結論的論考「災害支援のための聖書神学―創造・和解・終末の希望」は、創造から終末を貫き、人と被造物世界全体を視野におさめた「包括的」な福音理解を、机上の思索でなく、被災の現実の中で論じており、とかく抽象的な議論に終始しやすい福音派の神学界に一石を投じるものとなっています。今後このテーマが本格的に展開されることに大いに期待します。
一・一七、三・一一、そして四・一四。これらを経験したこの国にあって、今もなお働き続けておられる九キ災の歩みに友情によって連なりつつ、自らも問われていく歩みを続けたいと思います。