砂漠の花園 第1回 小さくても美しく躍動するいのち

フォトグラファー サンティラン前田登茂恵

日本の皆様、南カリフォルニアから、新年明けましておめでとうございます。そして、初めまして!
南カリフォルニアというと、皆様、何を想像されるでしょうか。青い空とビーチでしょうか。いえいえ、実は、南カリフォルニアはほとんどが “Desert”(砂漠、荒野)なのです。よくいえば、「雨が少なく、カラっとした暑さの地」ですが、悪く言えば「水がなく乾燥した、焼けつく暑さの地」です。でも、こんな砂漠の地にも、冬の間に適度な雨が降ると、普段は何の植物も育たないかに見える干からびた荒野が、美しい花園に一変するのです。厳しい環境下の荒地でも、主が恵みの雨を降らせてくださると、その環境下でしか見ることのできない、美しく、かつ命の力強さを感じさせてくれる花々が咲くのです。そして、私はこの砂漠の花々から多くのことを学ばされます。
例えば、「フレモント・ピンクッション」という名前がついているこの花。高さ20センチほどの細く短い茎の上に、直径2センチあるかどうかの小さな丸い花がポツンと咲いているだけです。でも、よく見てみると、何と、さらに小さな白い花々がいっぱい集まって一つの花束になっているのです。まるで、真っ白な花嫁のブーケのようです。なんて清楚でかわいくて綺麗なんでしょう! そして、この花は、圧倒するほどの勢いで、砂漠の地一面を敷き詰めるかのように咲くのです。あまりにもいっぱい咲いているので、踏まずに歩くのが大変なくらいです。一見小さくて目立たない花が、実はものすごく美しく力強く生きている。すると突然、この小さな一つ一つの花たちがかわいくてたまらなくなるのです。「あなたも、あなたも、みんなとってもきれいよ!」なんて話しかけながら写真を撮りたくなります。「ああ、きっと主も、主にある私たち一人一人をこんなふうに見ていてくださるんだろうな」と思わされ、うれしくなってきます。
「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」
(イザヤ43・4)
これから1年間、私の住む南カリフォルニアで撮影した砂漠のワイルドフラワーを紹介していきます。