羊毛に関わる小さなお話 第8回 羊とぶどう

羊毛フェルト作家 泉谷千賀子

その昔、ワイン醸造所の主人と羊飼いは、共に助け合って暮らしていたそうです。
羊たちは、収穫後のぶどう畑の下草や枯れ枝を食べてくれますし、二股に分かれた蹄は歩くたびに土を耕してくれるのです。そのうえ、堆肥という贈り物つき。美味しいぶどうに必要なものは、光と水と羊たち! なんと素敵なことでしょう。
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そういえば、聖書に出てくる、新しいぶどう酒を入れる新しい皮袋も、羊の皮を使っていたようです。羊たちは、いつも人間の暮らしに寄り添っていてくれるのです。そろそろ熟し始める近所のぶどう棚を眺めては、はるか遠い昔に思いをはせる夏の日です。
さて今月は、公園の“わんぱく広場”にやってきた子羊たちの登場です。神様が注いでくださる愛のまなざしに守られて、元気いっぱい無邪気に遊ぶ子羊たち。さあ、思いきり駆け回りましょう。安心してのびのびと。

「主は天から目を注ぎ、人の子らを残らずご覧になる」 (詩篇33・13)

では、また来月、ほっこりとお目にかかれますように。