書評Books2 クリスチャン夫婦の落とし穴

『健全な夫婦になる鍵』
丸屋真也 著

四六判 1,300 円+税
いのちのことば社

アッセンブリー教団 三滝グリーンチャペル 主任牧師 堀川 寛

少子高齢化はわが国の抱える課題ですが、その原因の一つとなっているのは婚姻数の減少です。「誰でも結婚する」時代から「結婚を選択する」時代になってきたといえましょう。
しかし、結婚を選択したとしても幸せな結婚生活を送れるかというとそうではありません。高止まっている離婚率がその証拠です(婚姻数と離婚数は約3:1の割合)。残念なことにクリスチャン夫婦も例外ではありません。共に聖書を読み、信仰があるから自然に健全な夫婦になれるかというとそうではないのです。
カウンセラーであり牧会者でもある著者は、日米両国で数多くのクリスチャン夫婦(もちろんノンクリスチャンも)と関わってこられました。その経験をもとに、健全な夫婦とはどのような夫婦であり、どうすれば健全な夫婦になれるのかを、具体的かつ丁寧に解き明かしてくださいます。
健全な夫婦が目指すべき目標は「親密」であると定義されます。そして、本当に親密になるためにはまず夫婦それぞれが精神的・情緒的に安定し、次に良好なコミュニケーションを持ち、それでも起こってくる不一致を適切に管理する必要がある、と語られます。
本書が特にユニークなのは、夫婦間の不一致は当然起こることだと認めた上で、どのような種類の不一致があり、どうすればそれらを解決できるかを述べている点だと思います。
不一致の表れとして夫婦げんかがあります。クリスチャン夫婦であってもけんかしますが、お互いが「神のみこころ」を持ち出すとけんかは泥沼化します。このような悲劇が起こる原因は「一般的みこころ」と「絶対的みこころ」を誤解し混同しているからだ、と著者は指摘します。
結婚が危機に瀕している現代、クリスチャン夫婦だからこそ到達できる本当の幸せを獲得することは、何よりも素晴らしい証しになるのではないでしょうか。本書はその手引き書として最良の一冊です。既婚者にとっては耳の痛い話も満載ですが!