NEWS VIEWS FACES 牧会者のための支援システム「ハレルヤ・カウンセリング」登場

古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

 ある民間のメンタルヘルス研究所のアンケートによると、社内で心の病の人が増えている会社が、61.5%もあったそうです。心の病のため一カ月以上休業している従業員のいる企業は、74.8%です。その最大の原因は、「孤独感」と「不安」です。成果主義になって、同僚が「助け手」ではなく「敵」(競争相手)となり、常にリストラの不安におびえていている。つまり病気になる前に、「孤独」「不安」という悩みに押しつぶされているのです。これらは宗教的な問題です。

 このような「疎外体験」をした人たちが、それまでは眼もくれなかった教会にやって来るというケースが増えています。そこで時には、聖書の教えを、説教以上に突っ込んで、個人的に適用することを援けるということが必要になってきます。「福音の丁寧な個人的適用」、これが「牧会カウンセリング」です。教会に来る人、牧師に相談に来る人は、他の場所にはない解決を求め、期待しています。

 しかし、実際の牧会面接は、あまり役に立ってないことが多いのです。なぜ、効果的な援助をすることができないのか? それは、多くの場合、「その人の問題が何なのか」がわからないからです。たとえば「教会が熱心じゃない」と批判した人と、教会の話を延々としても、何も解決しません。その人の問題は、ぜんぜん別のところにあるからです。

 問題を正確につかみ、「医者に行ったほうがいい」か、「生活や考え方を変えることで解決できる」のか、適切に判断する。もし後者なら、何が援助のポイントか、特にみ言葉による援助がどのようにできるか。こういうことが、牧会者の課題です。

 その意味で、画期的な「牧会者支援システム」が誕生しました。『ハレルヤカウンセリング』の目的は、医者と牧師の役割を区別できること。そして医者にできないが牧師にはできること、病院ではできないが教会ではできることを明確化することです。全人カウンセリング研究所所長の佐野嘉彦氏が精神科医の工藤信夫氏の協力を得て考案されました。

 「問診票」→コンピューターで診断→「ハレルヤ診断報告書」(総合判定、「不快症状改善のすすめ」、予測される事態の「危険度」(%)、医師の診断を受ける必要の有無など)と進みます。さらに「近日イベント(最近起こったこと)の聖書的克服」として、状況に対応する聖書の言葉が提示され、「援助聖句活用時の祈り」もあります。さらに工藤信夫氏の電子ブックへリンクし、精神医学的な面からのアドバイスと適切な関わりの指針が得られます。さらにはレーザー・チャート図で立体的な理解もできます。

 「医者の道具はことばと薬とメスである」(ヒポクラテス)。メスと薬は医者だけが使えますが、「ことば」は、医者以上に教会に与えられている癒しの手段です。それが正しく用いられるために、何よりもまずは、牧会者が自分のセルフ・ケアーのために、これを使ってみたらいかがでしょうか?それで何かが変わったら、このソフトの価値がわかるはずです。