NEWS VIEWS FACES ボブ・ウィーランドさん

腕で歩く人、ボブ・ウィーランドさんをご存知ですか?

 レーナ・マリアさんや乙武くんからどれほど私たちは励まされているだろうか。彼らがハンディキャップをごく自然に受け入れている姿に誰もが感動する。

 2001年4月朝日新聞日曜日版で一面を飾った、両足を失って両腕で立っている笑顔の太ったアメリカ人の写真を覚えている方はおられるだろうか。あるいは、日本テレビ系で人気番組だった「知ってるつもり」でご覧になった方もいるかもしれない。下の写真で、「あー見たことある」と思い出される方も多いと思う。

 彼の名は、ボブ・ウィーランド。こぶし2つでアメリカ大陸を横断した男である。1969年べトナムに衛生兵として配属され、地雷を踏んだ友人を助けようとして自らも地雷を踏んでしまう。なんとか命を取り留めた彼が、病院で気がついたのは、下半身を失って動けない自分だった。両親に出した手紙の追伸に、彼は一言こう付け加える。「どうやら、私は両足を失ってしまったようです。」

 イエス・キリストと個人的出会いの体験をするのもこの頃である。スポーツマンだった彼は、自分に出来るスポーツを探す、「そうだウェイトリフティングなら、足がなくてもできる」彼の猛烈なトレーニングがスタートする。そしてついに世界記録を作るが、なんと靴をはいていないという理由で失格になってしまったのだ。

 そして世は反戦ブーム。ベトナム帰りの彼に、世間の目は冷たかった。こんなに不幸なことが続けば誰だって、自虐的になるのが普通であるが、彼は違っていた。

「神は新しい扉をお開けになってから、古い扉をお閉めになる。」彼はもっとすばらしいことが用意されているはずだと確信した。あるとき、別のドアが開いた。アメリカ大陸を両手で歩いて横断する途方もない計画である。彼は歩き始める。宇宙人や犬に間違えられながらもひたすら歩き続け、3年8ヶ月と6日をかけてロスアンジェルスからワシントンまで歩ききったのである。

 その年のニューヨークマラソンでも、とっくに終了した4日後にゴールに到着した。人の目は気にしない。「僕は皆と同じだ。たまたま足がないだけだ。」「神にできないことは何一つない」と断言する彼。

 そのボブ・ウィーランドさんが、9月15日に足立区の第3回タートルマラソン全国大会兼第5回バリア・フリー・マラソンに参加のため来日する。また合わせて講演会がもたれる。そしてビデオも発売される予定だ。
 また新たに自分の人生に大きな影響を与えてくれる人が増えたようである。


上半身を腕で支えて歩く
ボブ・ウィーランドさん