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『ナザレのイエス』
礒川道夫
ライフ・エンターテイメント プロデューサー

20年前の感動が今、現実に
「ナザレのイエス」のビデオ・DVD化

 1980年、まだ私が新卒の若かりしころ、有楽町シネマに「ナザレのイエス」を観に行った。ちょうどスピルバーグの「ジョーズ」が話題になっていた時で、看板に派手に飾られていたのを思いだす。地味な映画なので、それほど人も入っていないだろうと思いきや、定員350人ほどの小さな劇場は満杯だった。3時間に編集されたイエス伝、洗礼を受けてまだ4年ほどの私には、イエスが十字架にかかるあの姿が本当に印象的であった。

 当時、映画伝道に導かれたので、いつかこの映画を持って日本中で奉仕したいと思ったが、東宝東和が公開するこのような映画を担当出来るようになるなんてことは、はかない夢だと思っていた。

 あれから20年が経ち、世はビデオ時代を過ぎ、DVDの時代になって来た。

 アメリカにバイヤーとして買い付ける担当になったので、何回となくCBAというクリスチャンの展示会に行った。アメリカをはじめとした英語圏ではこの「ナザレのイエス」がビデオになって発売されているのを見て、インターナショナルの権利を持っている人を探したが、結局わからずじまいだった。数年前、ひょんなことから、イギリスの会社名がわかり、そのインターナショナル部のマネージャーがちょうど日本に来ているという連絡があり、急いで新宿のホテルに会いにいった。

 「今、日本の会社に全商品の販売権の交渉をしています。もし決まりましたら、その会社と交渉して下さい」との返事だった。またも空振り。そして昨年、ある方を通してその日本の会社に聞いていただいた所、サブライセンスをいのちことば社に売っても良いとの返事をいただいた。やった。心から主に感謝した。

 吹替え作業が始まった。その演出家もエンジニアの方も、イエスの生涯を6時間11分、そしてそれを編集するので何回も観なくてはいけない。彼らは言ってくれた。「イエス・キリストの生涯を一度は知ってみたいと思っていたが、このビデオを通して、イエスがなぜ多くの人を惹きつけるのかわかった気がする。」このライセンスの窓口になってくれた部長も、6時間11分全部観て、感動したと言ってくれたそうである。

 先日は、小社に荷物を運んで来たバイク便のお兄さんが、ポスターを観てビデオを購入したいと来た。

 多くの人は、イエス・キリストの生き方に関心を持っている。だがそれを簡単に知るチャンスが少ない。このビデオとDVDがその橋渡しになればと祈っている。