NEWS VIEWS FACES まだまだ続くゴスペル・ブーム

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 どういうわけか日本はいつの間にか、世界でも類を見ないほどブラック・ゴスペルの盛んな国になっているようだ。カルチャー・センター等で主催される多くのゴスペル・ワークショップ(ゴスペルソングを素材としたコーラス指導)に加え、海外アーティストを招いて催されるホール・コンサートなどが至るところでおこなわれている。ブラック・ゴスペルの持つパワーやエネルギー、自ら歌うことができサークル活動のように仲間が増えていく喜び。OLや学生などを中心に多くの日本人の共感を得ているようだ。日本のポップス市場では折からのR&B(アフロ・アメリカンによる大衆音楽)ブームでもあり、その流れにのって日本人によるブラック・ゴスペル・スタイルの作品なども多数リリースされた。伝道的な視点からこのブームを前向きに受け止めた教会関係者など、昨年一年間でブラック・ゴスペルを意識せずにいたキリスト教音楽関係者は少なかったのではないだろうか。

 さて日本のゴスペルブームの背景として、アメリカの90年代ゴスペル音楽シーンの著しい隆盛があげられる。たとえば現在アメリカのゴスペル界で最も注目されているアーティストの一人、 ドニー・マクラーキン師はニューヨークにある教会の牧師であり、ゴスペル・シンガーである。70年代にゴスペル音楽のリスナーを飛躍的に拡大し、アメリカのゴスペル・シーンを変革してしまったアンドレ・クラウチから大きな影響を受けて教会音楽をはじめ、1989年に初レコーディング。以来数枚のアルバムをリリースし、昨年マクラーキン師自身が「これまでに出会った曲の中で最も力強く、また自らの信仰生活が要約された内容のもの」と言う楽曲『We Fall Down』を収録した『Live In London And More』をリリース。これが100万枚を売上げ、2001年のブラック・ゴスペル界最大のヒット・アルバムとなった。自らが現代のアンドレ・クラウチとなったかのような破竹の勢いを見せている(現在、来日交渉中)。

 また昨年に引き続きニューヨークからヘゼカイア・ウォーカー師が5月に来日予定。都内近辺でのクワイア・ワークショップ(聖歌隊の歌唱指導など)とチャペル・コンサート等が計画されている。8年前10名ほどで出発した教会は現在約1500名の教会員を擁する教会へと成長し、95年にはグラミー賞も獲得しているウォーカー師。多くの動員が見込まれる重要イベントとなりそうだ。

 『日本人が歌うゴスペルソング』というコンセプトから長年、クワイアを率いて日本各地での奉仕活動に従事し、日本のゴスペルブームの礎を築いてきた粟野貢司、めぐみ両氏プロデュースによるゴスペル・アルバム制作も今年計画されている。乞うご期待!