CD Review ◆ CD評 どんな気持ちのときにも、聴きたいと思える1枚

『 CD ありがとう 』
石黒ミカコ
シャンソン歌手(singer name/Neco) &写真家

つらいとき、悲しいとき、そしてうれしいとき、どんな気持ちのときでも、心に染みてくる……。
CD「ありがとう」には、二十年の中で培われた森 祐理さんの歌の温もりと力強さが溢れています。また、全編に流れる心地良い楽器の音色も美しく素敵です。
その全十一曲の中から、いくつかご紹介を……。
一九六〇年代に大ヒットしたフォークソング「バラが咲いた」は、どのようになるのかなと興味津々。歌詞に神様という表現はないのに、祐理さんが歌うと神様の存在を感じるのです。歌い出しとともに「森 祐理ワールド」に引き込まれ、聴きながら「心に咲いた『枯れないバラ』は、『神様の愛』なのだなー」と、しみじみと思わせてくれるものがあります。
「主われを愛す」は、有名な賛美歌ですが、ここでは日本語、ポルトガル語、中国語、韓国語で歌われており、アレンジも新鮮です。祐理さんが各国で生き生きと主を賛美する姿が目に浮かびます。
「遠き国や」「まもなくかなたの」を聴きながら、阪神大震災で天国に召された祐理さんの愛する弟さんのことを思いました。どのような状況の中でも、十字架にある希望、天国での再会を、祐理さんは優しくも力強く歌い上げています。この歌を歌う時、祐理さんの心の中には再び大きな哀しみがよぎるに違いありません。その哀しみを賛美に変える力、その想いに、私は涙が溢れました。
「明日を守られるイエスさま」は、今この不安な時代に、歌詞がストレートに心に響き、慰めと励ましを感じました。
「恐れる事なく、神様に生かされているいのちを、感謝して大切に生きよう」という想いになる曲です。歌詞カードには、各曲に対する祐理さんのコメントがついているので、様々なエピソード、ルーツなどを通して、各曲への祐理さんの想いを改めて感じながら聴くことができます。二十周年記念CD「ありがとう」―。すべての曲を聴き終えたとき、祐理さんの声の温もりの中で、誰もがきっと、暖かく力強い神様の愛に包まれることでしょう。