CD Review ◆ CD評 『THE GOSPEL』 SOUNDTRACK

CD「THE GOSPEL」SOUNDTRACK
兼松弘子
ゴスペルシンガー Voice of Vision代表・ディレクター

福音を知って、福音に生き、福音を宣べ伝えよ!

 ゴスペルミュージックが日本中で歌われ、主に引き寄せられた者は、どれくらいいるだろうか。

 その音楽のリズムと力強さに魅了され、声をあげてハーモニーを奏でる。次第に、歌う者の霊は主の語りかけに揺さぶられていく。楽しくてしょうがない気持ちで歌っているのに、いつの間にか、涙が頬を伝わっている自分の姿に気付く。それは、それまで生きてきた自分の心の中の飢え渇きを覚える瞬間だ。そして、自分たちが歌っているゴスペルの中の神様を信じて歌ってみたい。歌っていきたい。でも確信を持っていないのにこのまま歌い続けていいのか。そんな葛藤を持ちながらゴスペルを歌うクワイアメンバーは少なくない。

 「人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」(ルカ一九・一〇)このアルバムのタイトルでもある「ザ・ゴスペル」……それが唯一、神様からの救いのメッセージだ。このアルバムは昨年アメリカで話題となった映画「The Gospel」のサウンドトラックだが、収録されている全十三曲はカーク・フランクリンの「He Reigns」、ヨランダ・アダムスの「Victory」、ステラ賞も受賞したマーサ・ムニッヅィの「Glorious」など、エネルギッシュでアップテンポな曲や、ヘゼカイヤの「I Need You To Survive」などのバラードも数曲入って、ゴスペルファンのみならず、自然に神様を賛美したくなってしまうことまちがいなしだ。DVDも映画とミュージックライブ盤の二枚組とい う何とも豪華なものになっている。

 ゴスペルミュージックによって福音を伝えられた者たちが、今、多くの場で福音を伝える側に立てられている。「See it! Live it! Spread it!」(サブタイトル)=「ゴスペル(福音)を見て(聴いて)、ゴスペルに生き、ゴスペルを伝え広めよ!」ぜひ、このアルバムを聴いて、私たちを救うために来られた主の主、王の王の御業を感じてほしい。He Reigns! 主が賛美の中に力強く生きていることを感じずにはおれない力作だ。