風色のカレンダー 22 秋の夜には

秋の夜には
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家

 四季の中で一番好きなのは、秋。ギラギラと照りつけていた太陽も穏やかな表情を見せ、木々の間を通り抜ける風もやさしい光に包まれて、そよぎ出します。秋は、家の中で仕事をすることの多い私にとっては、待ちに待った季節なのです。

 次第に高くなる秋の夕空に浮かぶ雲を眺め、夜空に煌めく星を観ていると、すっかり時間の経つのを忘れてしまいます。

 家族が寝静まった後、外から聞こえる虫の音を聴きながらいろんなことを思い巡らし、イメージが湧き上がってくるのもこの時間。心の中で眠っていた、気づきが与えられるのもこの時間……。

 なかなか書けなかった手紙を書き上げ、あわただしく過ぎ去った夏の日々を想い出のアルバムにしまって、仕上げにはとっておきの紅茶を、お気に入りのカップで飲む小さな楽しみが、今年もまた始まります。