風色のカレンダー 20 遠足ごっこ

遠足ごっこ
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家

 おひさまの光やおいしい空気、美しい景色というのは、ただの梅干しのおにぎりさえもごちそうに変えてしまう不思議な力をもっていると思います。

 今ではさすがにしなくなりましたが、子どもたちが小さかったころはよく、庭にシートを敷いて、お弁当を3つ作り「遠足ごっこ」をしたものでした。ネコの額ほどの狭い庭ですが、燦々と降り注ぐ太陽の光を浴びながら食べるお弁当は、やはり格別です。小さなリュックの中にいつものお菓子を詰めて、庭の花のスケッチをしたり、落とした卵焼きに群がるアリを観察したり、子育ての疲れをいやす気分転換になりました。自然が与えてくれる力ってすごいなあ~と感じ入ったものです。今は雑草だらけの同じ庭。草取りをするでもなく、しゃがみ込んで小さな花や実を眺めながら、神様の恵みを体いっぱい受け止めている今日このごろです。