時代を見る目 164 企業倫理について考える
神にかかわっていただく「祈りの輪」を広めよう

林 晏久
元丸紅金属販売株式会社代表取締役/フェローシップ・ディコンリー福音教団 住吉山手キリスト教会牧師

 企業の不祥事が続々と明るみに出されている。このような事態が急に起こってきたのはなぜだろうか。この要因の一つに「内部告発」がある。そしてインターネットが一般化されるに至り、内部告発も容易になったと言われている。内部告発は、密告であり裏切り行為という見方もある。しかし、これによって闇の部分に光が当てられ、公正が行われるのであれば必要な道具でもあろう。

 私は、クリスチャンには別の道もあるように思う。それは、神にかかわっていただく方法である。少し昔のことであるが、私は企業に勤めているときに、総務部のあるクリスチャンが、東京本社の地下の用品倉庫の片隅で、仲間のクリスチャンや、聖書に関心を持つ人たちを集めて、聖書の学びをしていたのを知った。私は当時大阪勤務で、クリスチャンになったばかりであったが、不思議な気持ちになった。どろどろしたまさに生き馬の目を抜くような戦いが行われている大手町のビルの地下で神のことばが読まれ、祈りがささげられている! その時、企業で起こるあらゆる問題に神は関与してくださるのだ、という思いを強くしたのを覚えている。

 企業の中にクリスチャンの輪ができ、そこで社内の問題や悩みが語られるようになれば、それは祈りの課題となって神がかかわってくださる機会となりうる。職場でクリスチャンの仲間の連携を作り、祈りの輪を広げる。まずそこから始めるのである。

 私は神戸で壮年者クリスチャンの交わり、「ウィナーズクラブ」を立ち上げ、年に数回、証し会を開催して十年目を迎えた。私たちは毎月祈りの会を開いて、課題を出し、祈り合っている。クリスチャン・ビジネスマンの集いには、大先輩格のCBMC、FGBMFIがある。VIPクラブは全国各地に支部を持っていると聞く。そういう交わりに牧師に報告して、参加してみてはどうだろうか。そこには同じような問題を抱えている仲間がいる可能性があるし、祈り合うことができる。そして、弁護士、公認会計士、裁判所関係者、経営者、牧師などが加わっておられる。このような専門家に相談することも一策である。その中で神からの知恵、取るべき行動の確信が与えられるであろう。私たちクリスチャンは職場で、また職場を超えてネットワークを作り、備えをもって世の光、地の塩としての働きを広めようではないか。