中間時代を学ぼう! 『中間時代のユダヤ世界』さわり読み

『中間時代のユダヤ世界』新約聖書の背景を探る

【さわり読み】「家庭と家族生活」より

 婚約と結婚には諸段階・諸慣習を経る長い道程があった。結婚を願う者は、家系と儀式上の地位との両方について将来の伴侶の家族にふさわしいものでなければならなかった。男性は、だいたい十八~二十歳が、女性はずっと若い年齢が結婚適齢期と考えられた。若者は独力で将来の結婚相手と知り合いになることも可能だった。縁談は両親によって、あるいは結婚仲介業者を通してまとめられるほうが多かった。

 婚約は経済的意味と法的意味とが関係し、長期間にわたる交渉の対象ともなり得た。正式に婚約が結ばれるのは花嫁の父親の家であり、そこにおいて花婿は花嫁に、彼の意思の表れとして金銭か高価なものを渡した。また、自分の責任と、自分の死あるいは離婚に際して花嫁が受け取る金銭の額とを銘記した契約書も渡した。法律面から言えば、婚約には正式な証人の立会いが求められた。婚約式では喜びに満ちた祝典と贈答とが行われた。その後、花嫁は父親の家にとどまっていた。
(中略)

 花嫁も花婿も準備が整ったと判断されると、結婚が行われた。結婚式には次のような段階が規定されていた。「(1)花嫁の準備、(2)花嫁の、父の家から花婿の家への移動、(3)花婿の家への花嫁の紹介、(4)夫の家での祝福と宴。」祝典には多くの客があり、招かれた者もそうでない者もいた。立会人は結婚式の一週間、祝福のことばを唱える決まりだった。祝宴が催され、明るさと喜びとに満ちた雰囲気が全体に溢れた。結婚の週が過ぎても守り行う諸慣習がほかにもあった。