ブック・レビュー 読んだら読ませたい小さな名著


峯野龍弘
ウェスレアン・ホーリネス教団 淀橋教会 主管牧師

本書は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等で今日盛んに脚光を浴びている「がん哲学外来」や「メディカル・カフェ」の創始者である順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授樋野興夫先生の書かれた珠玉の一書です。この書は「読んだら読ませたい小さな名著」とでも呼びたい書物です。
ちなみに「がん哲学外来」とは、いわゆるがんの診断や治療を行うのではなく、がん患者やその家族と対話して、その心に慰めや平安を、さらには残された生涯を有意義に生き抜くための希望と力を賦与する「こころに“みことばの処方箋”」を出すところです。その「カフェ」とは、さらに複数の関係者が講師もしくはファシリテーターの下に集い、お茶を飲みながら親しく対話しながら、その対話を通じて自ら「こころに“みことばの処方箋”」を見つけ出していく幸いな場です。
さて、本書を手にして読み進めるうちに、読者の皆さんはどなたも、そこに「こころに“みことばの処方箋”」を見つけ出すことができるでしょう。平易かつ簡明で、しかも優しく温かい樋野先生の語りかけるような絶妙な筆致を通して、いつしか病から来る苦悩や恐怖、不安や悲しみ等から心が解き放たれ、命の尊厳や生きる目的、死することの意義と価値、人間関係の美しいあり方や個々の人間存在の尊い役割等々に、心の目が開かれ、その霊魂に深い慰めと安息を与えられることでしょう。
そこには聖書のみことばと、樋野先生の解き明かす珠玉のような一語一語を通して、人生への啓発と気づき、頷きと納得、示唆とヒントを手にすることができるからです。とりわけクリスチャンの皆さんにとっては、聖書のみことばの中に、こんなにも素晴らしい人生の処方箋が、的確かつ具体的に満載されていることに、大きな驚きと喜びをもって気づき直すのではないでしょうか。これまた本書の著者樋野興夫先生の珠玉の筆致の素晴らしさと魅力といえましょう。 
そこで皆さんにもぜひ「読んだら読ませたい小さな名著」のご愛読をお勧めします。