ブック・レビュー 三人の名著を通して、信仰の恵みの世界に導かれる


野田 禎
イムマヌエル綜合伝道団 富士見台キリスト教会 牧師

本書は三人の神の器、オズワルド・J・スミス、アンドリュー・マーレー、A・B・シンプソンらの名著を通して、「聖霊」について非常に分かりやすくまとめられている。
「御霊に満たされなさい」(エペソ5・18)とは主イエスの命令であるが、では「どうしたら聖霊に満たされるのか」「聖霊とは何か」「聖霊によって歩むとは何か」など、求道者や洗礼を受けたばかりの方に聞かれたら、皆さんはどう答えるだろうか。父なる神と、主イエスのことはよく分かるけれども、聖霊については漠然としていると感じているクリスチャンは少なくない。この書は私たちを神のみことばに導いてくれる。そして読み終えたときに、聖霊はきっと、「求める」私たちを祈りへと導いてくださるだろう。
本書の特徴として、最初に問題意識の提示がある。「聖霊に満たされたい!」「何のために?」「どうやって?」これらの質問から、読者が具体的な問題意識を持って読み進めていくと、聖霊は私たちを三人の名著を通して、信仰の恵みの世界に導かれる。素晴らしいことに本書に引用された三冊の本のもくじと表紙の画像も掲載されている。ある方にとっては「この本、懐かしい、読んだことがある!」と感じられるだろう。もくじの中で、丸印がつけられているところが引用された章である。さらに読みたくなったら、非常に自然な形でもとの名著を手にすることができる。
そして最後には、まとめがある。「神に告白していない罪はありませんか?」「自分の力で奉仕してはいませんか?」「神に100%明け渡していますか?」などの明確な問いかけがされる。さらに、コンパクトに私たちの心に刻まれる総まとめの短い言葉も記されている。また、挿絵もすてきで本文にぴったりと合っていると感じた。
どの教派に属していても、クリスチャンが「砕かれる」経験、そして主によって砕かれ続かれ、聖霊によって造られ続けることは恵みである。本書が多くの方々の手に届き、読まれ、瞑想され、祈られることを祈っている。
個人でも、教会の学び会のテキストとしても、非常に有益な書である。

『「聖霊」に明け渡した人々』
 オズワルド・J・スミス、
アンドリュー・マーレー、
A・B・シンプソン 著
新書判 1,000円+税
いのちのことば社