ブック・レビュー レフトビハインド4
『ソウル・ハーベスト』

『ソウル・ハーベスト』
原田 陽子
善隣館書店 スタッフ

登場人物と神との関係を、自分と重ねあわせて

 「待ってました!」

 書店に勤めていながら、活字離れ世代を代表するような私が、こんなことを言うのは実に珍しいことだ。

 『レフトビハインド』から始まったこのシリーズは、タイトルの示すとおり(取り残された者たち)のドラマである。何に取り残されたのか―彼らはクリスチャンが天に引き上げられた(携挙された)とき、地上に取り残されたのだ。しかし「携挙」という言葉そのものは聖書の中に出てこないし、終末論は「難解」……そんな私の考え方にこの小説は一石を投じることとなった。

 「取り残された者たちがキリストの贖い・救いを体験し、さらに患難時代の勇士として立ち上がる。反キリストはその残忍な姿を少しずつあらわにする」というのが前回『ニコライ』までのお話。遂に、この書では黙示録で預言された御使いのラッパの審判が下り、天変地異が起こり始める中、多くの民がその事態に神の存在を認め、救いを求めるようになるのだ。まさに魂の収穫『ソウル・ハーベスト』の時だ。

 物語は、現代と全く違う世界へと進んでいく。天変地異により、多くの人が命を落とすシーンはその描写が実に細かく情景を思い描くのに困難を覚えるほどだ。しかし、登場人物の祈りに応え、預言のごとくにその世界を治めておられる神は、現代に生きる私の信じる神と同じ方なのだ。登場人物たちと神との関係を読む内に、私自身と神様との関係を改めて見直す恵みと喜びを頂いた。魂の刈入れ、人々の救いを目の当たりにする喜びは何と大きい事だろう。終末論の如何でなく、生きて働かれる神の存在にフォーカスをあてて読んでいただきたい。

 シリーズの初めからまだ読んでいない方は、先が長いと思わず、むしろ四冊も楽しみがあると思ってほしい。いまから次が出るのが待ち遠しい限りである。