ブック・レビュー 『実を結ぶリーダーシップ人を活かす組織をつくる』

『 実を結ぶリーダーシップ 』
斎藤 孝志
東京聖書学院名誉教授

現代が求めるリーダーの姿を描き出す

泉田昭先生が、実によい本を書かれました。先生はこういう本を書かれる最適な方です。先生は、長い時間をかけて練馬で立派な、人を活かす教会を形成され、福音派全体をリードされたリーダーであられます。それだけではなく、練馬バプテスト教会の牧師を引退された後には、日本キングス・ガーデンという老人のための福祉施設を建設されました。この本の内容は、四十八項目に分かれていて、一つひとつわかり易く、簡潔に、ポイントをついて、なるほどさすが難しい教会伝道、福祉事業に大きな働きをした方の文章だと感心いたしました。本の全部を紹介していたらわずかな紙面がすぐに尽きてしまいますので、私の心に残ったいくつかのことを記します。リーダーになること自体、困難なことですが、実を結ぶリーダーになることはさらに難しいことです。しかし、いろいろな危機の中にある現代の教会に最も必要なリーダーは、「実を結ぶリーダー」であると言っています。私はそういう問題意識をもって、この本を読み始めましたところ、著者は第一番目にそういうリーダーになるために必要なものは「ハングリーになろう」と主張しておられます。そのほか、「先頭に立つ」「壁にぶちあたるのはあたりまえ」「全体像を把握する」「ビジョンを描く」「理念をしっかりと持つ」と続きます。一つひとつ大切なことです。この中の「ビジョンを描く」というところで、実に重要なことを著者は、ご自分の体験をあげて話しておられたことが、私の心にいちばん残りました。それは、「聖書を説き、教会を建て、社会に仕えよう」というビジョンです。そして、その中で最も重要なビジョンは、「教会を建てよう」というビジョンであり、あとの二つは、この目的に仕えることであるというこの著者の主張は、決定的に重要な主張です。「リーダーを増やす」というのも決定的に重要です。「謙なずうずうしさ」なども本当にそうだなと思います。「読書を習慣づける」、これも重要です。神学者カール・バルトは言いました。「聖書と共に新聞を読め」と。