ブック・レビュー 『クリスチャンの職業選択』

『クリスチャンの職業選択』
中南 守
東京基督教大学 進路担当職員

クリスチャンの就職活動、もやもや解消!

 キリスト者学生会(KGK)主事である筆者が、クリスチャン学生の疑問質問をクローズアップ。就職活動という具体的な事柄を通し、クリスチャンの生き方の本質に触れています。

 特筆すべきは、「面接でクリスチャンと言うのは不利?」「キリスト教は世の中で通用しないのでは?」「牧師になるために、社会経験が必要?」「就職活動するか祈って待つか?」などの学生が抱く疑問を取り上げながら、背景にある信仰の姿勢に光を当てている点です。

 もやもやした思いの背景にあるものを、先輩クリスチャンの例やみことばを散りばめつつ、ひも解いていきます。そして、聖書が語る価値基準に正しく立つように促します。読み進めていくうちに、「恐れ」と「疑問」の就職活動が、主にある「誇り」と「確信」に満ちたものへと変えられていくでしょう。

 本書のキーポイントは、クリスチャンとしての価値観の成熟です。就職活動とは、単なる仕事選びの時ではなく、クリスチャンとしての人生を左右する重要な時期です。「就職を機に、『この世』に合わせてしまうのか、それともクリスチャンとしてふさわしい価値観へと成熟していくのか、人生の大きな分岐点」と述べています。そして、価値観の成熟こそが、クリスチャンとしての豊かな職業生活の大切な基礎であると語っています。すでに働いているクリスチャンも、再度、自分を見つめ直すことが迫られます。

 一クリスチャンとして立ち止まり、価値観をどこに置いているのか、よく吟味する。地の塩、世の光として、主の使命をもって社会に出るために不可欠な時間です。この本はさらに豊かなクリスチャン・ライフを送るためのよいガイドになるでしょう。

 「聖書は……教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。それは、神の人が、すべての良い働きのためにふさわしい十分に整えられた者となるためです。」第二テモテ三章一六、一七