ビデオ 試写室◆ ビデオ評 94 DVD版『トンデラハウスの大冒険』

「トンデラハウスの大冒険」
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

ラーメン屋さんのテレビでも見られた大ヒットアニメ『トンデラハウスの大冒険』 DVD版完成

 この2、3年、ライフ企画から出ているDVDには驚きます。どれもあまりにもすばらしくて、感動の連続でした。しかし、そのほとんどが大人向きのものです。しかし今、キリスト教会が直面している緊急の課題は、子どもたちへの効果的な伝道です。教会学校に来る子供が激減しただけでなく、信者の子どもさえ教会を離れる時代です。教会のピンチです。こんな時に、80年代のテレビのゴールデンタイムを飾った『トンデラハウスの大冒険』がDVD化されました。20年前に次々に放映された聖書アニメ、『アニメ親子劇場』『パソコントラベル探偵団』とこのトンデラハウス。この中でも特に人気があったのが『トンデラハウスの大冒険』だったのです。

 待夢時男博士は、家の形をしたタイムマシーンを造っています。その助手がロボットのカンデンチン。もう少しで完成というときに、3人の子供が雨宿りに飛び込んできます。ゲン、カンナ、ツク坊でした。その時雷が落ちてきて、未完成のトンデラハウスが動き始め、不時着したところが新約聖書時代のイスラエルでした。ちょうどイエス様がこれから生まれるところでした。それから52回、最終回で現代に戻るまで、ゲン、カンナ、ツク坊、カンデンチンの新約聖書の世界での冒険が続いていきます。世界最初のクリスマスから始まって、使徒の働きまでいきます。

 当時の視聴率はかなり高かったようで、終わってからも夕方に再放送、さらに再々放送まで流れました。キリスト教になじみのない人たちも、実に素直にストーリーに入って行けて、最後に登場するイエス様の言葉が心に残る、感動的な作品でした。今ちょっと考えても、場面がよみがえってきます。特におもしかったのは「石を投げるのは誰だ?」という姦淫の女の話でした。姦淫では子どもにわからないし、ましてやそれを描くわけにも行きません。それが見事にフィクションをおりまぜて、しっかりメッセージを伝えていました。「聖書物語にフィクションを入れるのは……」という人もいましたが、それによって聖書のメッセージがもっとはっきり伝わるのです。

 先に出版された『DVDアニメ親子劇場』への子どもたちの反応によって、このシリーズは今の子供の心にも触れることがわかっています。

 100回イエス様のお話をするよりも、一回イエス様のところに連れて行って会わせてあげること、その愛の行為や奇蹟を見せてあげることは、100倍も有効です。そのために、トンデラハウスがこの21世紀に来てくれたのです。この作品は、苦闘する教会学校、クリスチャンホームへの神様の贈り物です。プレゼントにも使えますよ!