ビデオ 試写室◆ ビデオ評 83 DVD「隠れ家」

DVD「隠れ家」
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

最高のキャストが心を掴む DVD「隠れ家」

 先月号のDVD版『隠れ家』に引き続き、ほんの一握りですが出演者をご紹介します。それぞれの役が、このひとつの信仰の大作を実に見事に作りあげているのです。

ジャネット・クリフト(コーリー・テン・ブーム役)
 ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークなどの舞台を踏み、自らの劇団を持つ舞台女優。『アンネの日記』などで好評を博しました。ジェームス・コリア監督の強い要望で、初めての映画出演。この『隠れ家』で、英国アカデミー賞の新人賞にノミネートされました。私たちは彼女の目を通して、地獄を見、そこに射し込んだ光を見ます。

ジュリー・ハリス(コーリーの姉、ベッチィ・テン・ブーム役)
 『エデンの東』を、不朽の名作にまでのし上げた一人です。いつも兄と比べられ、「不良」「できそこない」「親不孝者」と言われていたキャラ(ジェームス・ディーン)の中にある寂しさや悔しさや悲しさを、ただ一人、理解し、包み、癒そうとする少女エイブラを演じたのが、この人です。「愛されないって悲しいことです!」で始まる台詞は、涙とともに沢山の人の記憶に残っています。
 『隠れ家』のベッチィは、まさにそのエイブラをそのまま成長させたような人物です。信仰と愛と希望を、弱い体一杯に表わして、収容所の片隅に小さな天国を作って、天に召されていきます。何とも言えない美しさを持った人です。
 The member of wedding(52)で、アカデミー主演女優賞に、『嵐の中の青春』(55)で英国アカデミー賞(国外女優賞)にノミネート。その後『刑事コロンボ/別れのワイン』(73)、『愛は霧のかなたに』(88)などに出演。衣装デザイナーとしても活躍。トニー賞に4度輝き、今なお活躍中の人です。

アイリーン・へッカート(収容所の看護婦)
 『悪い種子』(56)でゴールデングローブ助演女優賞を、『バタフライはフリー』(72)でアカデミー助演女優賞を受賞した個性派の大女優。『バス停留所』、『傷だらけの栄光』などに出演し、『Save me a place at forest lawn』(67)でエミー賞受賞。亡くなるまでに11個の賞を受賞した名脇役。ちょっとずる賢いけど、情のある看護婦で、何かとベッチィやコーリーを助けます。

アーサー・オコーネル(コーリーの父キャスパー・テン・ブーム役)
 『ピクニック』(55)でトニー賞を受賞し、『或る殺人』(81)でアカデミー助演男優賞候補にもなった名優。代表作の『ミクロの決死隊』など、数え切れないほどの作品に出演。私が初めて彼を見たのは、テレビの『逃亡者』でした。E.プレスリーの『夢の渚』やパット・ブーンの『4月の恋』でも姿を見せていました。信仰一筋の素晴らしい人格を、重厚に美しく演じ切っています。

 光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった。(ヨハネ1:5)
 ナチの闇でさえも消すことができなかった光を、この名優たちが確かに見せてくれます。