ビデオ 試写室◆ ビデオ評 64 SFXで新しくなった!
『十戒モーセ完全版』見どころ紹介

十戒・イメージ画像
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

 先月は、『十戒』のリメイク版である「十戒 モーセ」が主演のベン・キングズレーを始め、超一流のスタッフとキャストで作り上げられていることを紹介しました。今月は、その見どころなどをご紹介しましょう。

1.奇跡
 まず、『十戒』というと、数々の奇跡を思い出します。1957年に作られた、デミル監督、チャールトン・ヘストン主演の『十戒』でも、その時代においては見事に描かれていました。しかし、それから40年、今ではSFXという特撮方法が一般的になり、どんな奇想天外なシーンも作れるようになりました。10の災いがエジプトにくだされるシーンや、紅海が分かれる場面は前半最大のクライマックスですが、それらの特撮が一つの見どころでしょう。

2.ストーリーのこだわり
 しかし、やはり特撮よりも、映画の命はストーリーです。さまざまなところに、監督のこだわりが見えます。後ろにはエジプトの軍隊、前には紅海、絶体絶命のピンチの時に、日が暮れます。モーセは、紅海に向かって神の杖を高く上げます。チャールトン・ヘストンのときは、すぐに水が分かれました。しかし、この映画では、モーセは杖を上げたまま一晩中立ち続けます。その間に背景が明るくなり、朝になるとモーセの顔に笑みが浮かんできます。祈りが聞かれたという、強い確信の笑いです。あきらめない、忍耐の祈りの姿として、この場面が描かれています。

3.モーセの人間性
 金の子牛の事件のとき、神の命令で、不従順な者が皆殺しにされる場面があります。そのとき、モーセの顔が、苦痛と悲しみで一杯になり、こぼれ落ちる涙がクローズアップされます。この涙に、神様の悲しみが現われているような気がします。罪びとを愛してやまないのに、裁かなければならない神の涙。この涙が、やがて十字架の上にご自分の一人子をつける痛みへと変わっていくのです。

 その他、モーセがピスガの頂で賛美しながら死んでゆくラストシーンなども素晴らしいです。約45分ごとに一話が終わるという形になっているので、家庭集会などで何回かに分けて見るには、とても便利ではないでしょうか?とにかく、ご鑑賞をお勧めします。