ココロの出会い ~世界を旅して 第12回 vol.12 また会う日まで ~ドイツ~

森祐理
福音歌手

世界を旅して「ココロの出会い」をつづってまいりましたが、今回は、心の休息を受けたドイツでの恵みを振り返りたいと思います。
今から5年ほど前、初めてドイツの修養会でコンサートをする機会が与えられました。その際、ぜひ行かれたらいいですよ、と教えていただいたのが「マリア福音姉妹会」でした。ダルムシュタットという町にあるプロテスタントの女子修道会で、マザーバジレアらによって創設され、主にのみより頼んで生きる生活を営まれています。
修養会の後、待ち切れない思いで姉妹会に向かうと、宿泊する小さな部屋に案内されました。もちろんテレビも電話もパソコンもありません。ここで4日間、ひとりで聖書だけを読んで過ごすのです。とりあえず散歩でも、と外に出た瞬間です。どこからか、「ハレルヤ、ハレルヤ」と合唱が……。周りを見渡しても誰もいません。顔を上げたそのとき、風にそよぐ木々たちが賛美しているのだと知ったのです。花も鳥も大空も主を賛美しているのが、はっきりと聞こえました。感動で身体中が震えて動けなくなり、心の疲れは吹き飛びました。それからの毎日、木々とともに賛美し、泉の水を飲み、思う存分主との交わりを楽しみました。
ある日、散歩中にふと洞窟を覗くと、なんと赤子のイエスさまやマリヤさんがいるではありませんか。人形ですが、等身大で、まるでベツレヘムの家畜小屋に来たよう。ヨセフさんの隣にひざまづき、そっと手を合わせると、イエス様の誕生が自分のためだと心の奥底から実感できました。「イエスさま、ありがとう、私を赦すために……」あとはことばにならず、涙が溢れました。
ドイツの旅は、主とゆっくり時を過ごした癒しの旅となりました。連載は今回で最終回ですが、歌の旅は続きます。皆様の旅路の上に、主がいつもともにおられますよう祈りつつ、また会う日まで、そしてメリークリスマス!

<編集者より>
編集の仕事に携わっていなければ、行けない場所、会えない人、知らなかったこと……がたくさんあります。そこには喜びや悲しみ、笑い、憎しみが。人とかかわることは、軽いものではありません。ですが、重さを受容せずに相手を「愛すること」などできないのだと思い知るのです。祝降誕!(永倉)

聖書に関心を持たない若い世代に、まず創造主の存在や罪について伝えることを目的としたファンタジー小説『スタート・アゲイン』の上巻がついに発売。読者が物語の虜となるうちに聖書に興味を持つ可能性を大いに秘めた書籍だと思いますので、身近な若者にぜひ贈ってみてください。(加藤)