となりの人々 12 奏楽の奉仕

奏楽の奉仕
森住 ゆき
日本福音キリスト教会連合 前橋キリスト教会会員

 N姉は、お子さんを教会併設の幼稚園に入園させたのがきっかけで救いに導かれた。信徒として教会に集うようになって数年後、牧師から礼拝の奏楽奉仕をしてみませんかと言われた。

 小学2年からピアノを習った。中学3年でレッスンはやめたけれど、弾くことは好きだったから幼児保育の教職者となり、それが役立ってうれしかったそうだ。結婚して職を離れ、3人の男の子の育児にしばし没頭。それが一段落した頃に奏楽奉仕の件が浮上した。

 今年で5年目。私でよろしいのなら、とあまり迷わずに引き受けたものの、奏楽当番の週が近づくと今でも強い緊張を感じている。「だって私すっごく下手だもの、だから毎回ドキドキよ」と言うけれどN姉の奏楽は、賛美するこちらの胸を温める響きがある、と私は感じている。

 N姉のお父様は、昨年秋に病床洗礼を受けてまもなく召された。葬儀の日、彼女は自ら奏楽を担い、お父様を天に見送った。技巧を超えて本当に心に染みる響きだった。彼女は今、NPOの障害者地域デイケア施設で働いている。奏楽の練習は仕事を終え、家事の合間の時間をやりくりして取り組んでいる。

 (表紙絵はJECA前橋教会所蔵の1920年代頃のリードオルガン、椅子は日基督教団吾妻教会所蔵のものを参考にさせて頂きました)