『教会福音讃美歌』で礼拝する教会 ■初めて教会へ来た方にも、意味のわかる讃美歌を……

日本同盟基督教団 豊川中央キリスト教会

「『教会福音讃美歌』を礼拝で使うようにしたのは、昨年の十一月からです。十月ぐらいから、歌集が届き始めたのですが、全員のもとに届くのを待って、そのタイミングになりました」と話してくれたのは、愛知県にある豊川中央キリスト教会の樋口邦彦牧師。
同教会では、これまで『聖歌』『讃美歌』の二冊を使用してきたというが、『聖歌』はすでに絶版となっている。そのため、「新しく礼拝に参加される方が、この歌集を欲しいとおっしゃったときに手に入れることができないので、それはまずいね、という話は数年前から教会内にあったんです」。

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日本同盟基督教団が『教会福音讃美歌』にかかわっていたことで、二〇〇四年以降、教団から届けられる「福音讃美歌ジャーナル」という冊子で歌集の情報は得ていたという。
その冊子で、「讃美歌についての集会を企画しませんか。福音讃美歌協会の理事または、讃美歌委員を派遣しますので、ぜひお招きください」という案内を読んだ樋口牧師は、賛美の学び会を行ってみることを役員会で提案。
昨年八月、讃美歌委員の中山信児牧師(菅生キリスト教会)による学び会が開かれたという。
「そのとき、中山牧師のお話を聞いて、古いことばの意味をよく知らないまま、讃美歌を歌っているということに気づかされました。初めて教会に来る方にとっては、賛美が古臭い、意味のわからないものになってしまっているのではないか―。新しい歌集の導入を検討するためというよりも、まずは賛美について学ぼうというのが第一の理由でお願いした学び会でしたが、『教会福音讃美歌』の説明も聞いて、『どこかで新しいものにしていかなければならないね』それならば、『この歌集がいいんじゃないか』となったのです」
「現物を見ないと判断できない」と、学び会以前に何冊か購入してみたが、教会員から「印刷がはっきりしていて見やすい」「開いていても、勝手に閉じない」「今まで二冊使っていたから、一冊になるのはいい」というような感想があったこともあり、学び会後、教会として、『教会福音讃美歌』に切り替えることが現実味を帯び始めた。
だが、「慣れ親しんだ歌集から、新しい歌集へと替えるのには、勇気がいるというか、きっかけが必要でした」
今回は、所属教団が携わっている歌集であることや、賛美についての学び会を行ったことなどもあったが、「こんなことを話してしまっていいのかわかりませんが、正直なところ、早期購入だと割引されることが一つのきっかけになりました。否定の声もなく、いいんじゃないか、という流れで、それなら特別価格で購入しよう、と……」。
受付に注文用紙を置き、数週間かけて注文をつのった。教会員四十余名は各自購入してくれたが、「教会備え付けに十五冊購入しましたから、初めての来会者など、そちらも自由に使っていただけます」としている。

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実際に使い始めると、「歌い慣れていた歌詞の訳が変えられていて、がっかりした」、「まさかあの曲がないなんて……。知っていたら反対したのに」という声も少しあったという。
「ですが、『じゃあこの曲はこれまでの歌集を使おう』と言っては、いつまでも切り替えられないので、今のところ礼拝の会衆賛美は、新しいものに切り替えていこうと考えています。あまり不満があると困りますが……。これまで親しんでいた讃美歌は、特別賛美などのときに歌うなどしていきたいですね。教会に、大変高齢で、でも大変元気なおばあちゃんがいるのですが、『教会福音讃美歌』が届いて、『知っている曲が~曲あった、知らない曲も、訳詞が変わっている曲もあって、新鮮な気持ちで賛美できるので楽しみだ』と言ってくださったのは、うれしかったですね」と樋口牧師。
歌詞について、楽譜と一緒の表示と、歌詞のみのものと二つあることも良い点だと語る。
今後、讃美歌集に期待することを聞いてみると、難しいと思いますが、と前置きしたうえで、「バインダー形式にして、歌集の垣根を越えて、楽譜を自由にそろえることができたり、電子ブック版が出たらとは思います。電子ブックであれば、会堂が暗くても液晶で明るく見ることができますし、使う楽譜だけ、すぐに呼び出すことができれば、奏楽者や指揮者にとっては便利だと思います」と答えてくれた。