谷陰を越えて歩む 聖書の世界に生きた人々[旧約編]

堀肇

挫折、失敗、不運、無力さ…人は谷陰のような道を歩むことがある。聖書の登場人物が味わった光と闇の連鎖に、神はどう関わったのか。臨床パストラルカウンセラー・スーパーヴァイザーの著者による、旧約聖書に登場する人たちの信仰と多様な人間像とその生涯に光を当てた一冊。

「聖書の中のどの人物も日の当たる光の中だけを歩んだのではなく、光と陰、喜びと悲しみとが交錯する人の世界を歩んでいったことに思いを寄せ、『谷陰を越えて』と表現しました」(あとがき より)

≪目次≫

◆分かれ道で選択する
促されてする決断にも意味がある  エステル
逃げ出すことが必要なとき  ロト   
限界状況の中での決断  モーセの母ヨケベデ   
神に従うか、主君に従うか  シフラとプア
「生かされている」ことの気づき  ヒゼキヤ   
「あなたの神」が「私の神」になるとき ルツ   
分からないことはそのままに  ラハブ   

◆挫折から立ち上がり
「中断」を余儀なくされたとき  ゼルバベル   
過ちによってさえ実現する  アロン   
失楽園を「私の物語」として読む  アダムとエバ   
光と闇の連鎖の中で出直す  ヨシャファテ   
「死んだ犬のような私」の価値  メフィボシェテ   
強さに覆われた弱さを抱えて   エリヤ   
無力さへの絶望こそ出発点   イザヤ   
実り豊かな敗北  ギデオン   
見えなくなって目覚める   サムソン   

◆家族の確執が織りなすもの
あの時があったから今がある  ヨセフとその兄弟
一歩踏み出して今できることをする  ヤコブとエサウ   
反逆するわが子のために泣く父の愛  ダビデとアブサロム
屈辱を受けてもゆがまない母の愛  サムエルと母ハンナ  
兄弟間の嫉妬と競争心  カインとアベル    
人はうわべを見るが  レア   
目立たないけれど大切な人  ベニヤミン   
人生の締めくくり
隠された感情が現れ出るとき  ミリアム   
まだ、やるべきことがある  ヨシュア   
意味のある老い方のモデル  モーセ   
晩年の変容から学ぶ  アサ   
失敗の果てに「美しい」  エリ   
改革の成果は不完全でも  ヨシヤ   
繁栄の行く末から学ぶ  ソロモン   

◆悲しみの彼方に
泣く声を聞かれる神がいる  ハガル   
涙の向こうから慰めが  エレミヤ   
「ああ、祈りを聞いてください」  ネヘミヤ   
「きょうは、泣いてはならない」  エズラ   
回復と希望を告げる  エゼキエル   
悲しむ人よ、嘆かないでください  ラケル   
死別の悲嘆を越えて  ナオミ   

◆理不尽と不運の中で
不機嫌を直そうとする神  ヨナ
不当な扱いに腹を立てても  ナアマン
苦難の意味は問わなくていい  ヨブ   
やり場のない悲嘆  ヨブの妻   
光と闇が交錯する手探り  サラ   
愛されることは他者への贈り物  イサク   
運命の波に翻弄されない  リベカ   
妬みに巻き込まれても  ダニエル   
最悪の事態から第二の人生へ  バテ・シェバ   
不運な現実でも変えられる  アビガイル   

◆自分らしい役割とは
戦う女に見る隠れた母性  デボラ   
敵をもてなす外交手腕  エリシャ   
「独りでいる」ことのできる自由  ノア   
愛に伴う責任を果たす  ボアズ
現代に問いかける友情の物語  ダビデとヨナタン   
率直に警告する影の主役  モルデカイ   
自分を「値引き」しないで  シュネムの女
人を助けるどころではなくても  ツァレファテの女

発行日:2020年11月01日
ページ数:184頁
判型:B6判
発行:いのちのことば社
ISBN:978-4-264-04187-0
商品番号:15070
定価:1,650円(税込)