私の隣人とは? 親切の賜物

「私の隣人とは誰ですか」。こう尋ねられて、イエスは善きサマリア人のたとえ話を通してお答えになりました。私はこの質問をした律法の専門家に共感できます。なぜ彼がこの質問をしたのか理解できるからです。私の心は、永遠のいのちへとつながるキリストの道に生きることを切望しています。この人と同じように、私も聖書の教えを知るという特権が与えられているのです。私は「あなたの神、主を愛し」「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」(ルカ10:27)と招かれていることを知っています。この律法の専門家とは違い、それが何を意味するかについては、もっと詳しく説明できるはずです。私の隣人とはいったい誰なのでしょうか?
この問いかけに、主イエスはたとえ話で答えられました。強盗の手に落ちた名もなき男が道端に置き去りにされていました。二人の宗教指導者たちは彼を見て、避けるために道の反対側を通ります。ですがサマリア人の男は彼を見つけて、わざわざ助けに行きました。
「この三人の中でだれが、…隣人になったと思いますか」と主イエスは尋ねます(ルカ10:36)。質問に答えるだけでなく、質問を逆手に取られたのです。
イエス様が私たちに誰を愛することを望んでおられるかを正確に知ることができればいいのですが、そうではなく、たとえ話を通して私たちの心に語りかけられるのです。イエス様が語るのは、私たちが日常生活のなかでどのように歩んでいるのかということです。私たちは困っている人に目を向けることができているでしょうか。苦しんでいる人の目を見ようと視線を合わせているでしょうか。それとも、目をそらしているでしょうか。
EHCは、あなたと同じように目をそらさないキリスト者の世界的な交わりです。このビジョンを支援するために献金をし、祈るとき、あなたは世界中で困っている人々の隣人になることができます。あなたはイエス様を隣人に伝え、誰も道端に置き去りにされないようにするキリスト者の働きを支援してくださっているのです。
今月はそのようなキリスト者のストーリーの一部を紹介します。これらがあなたのインスピレーションとなることを祈ります。キリストに従う私たちにとって、隣人が誰であれ、親切の賜物を提供し続けることを思い出させてくれますように。この働きへのご協力に感謝して。

EHC国際総裁 タナ―・ピーク

あともう一軒 (ベネズエラ)

引き返すこともできました。長い一日の終わり、頭上には暗雲が立ち込めています。しかし、ベネズエラのEHCチームは「もう一軒」と決めました。そして、ノックをした途端に雨が降り出したのです。フアンはドアを開けてチームを中に迎え入れてくれました。雨が降りしきるなか、2時間にわたってフアンは彼の生活や心の重荷について語ってくれたのです。チームはそれに耳を傾け、イエス様の愛を分かち合いました。彼らの友情に心を動かされたフアンは、イエス様に心を開きました。
「多くの人々の孤独と必要を目の当たりにしています。神様が良い知らせを告げるための道具として、私たちを用いてくださっています。本当に貴重な経験です」とチームのメンバーは語ってくれました。
キリストの愛を隣人と分かち合う前に、私たちはキリストの目を通して彼らを見なければなりません。それは私たちを変えると同時に、周囲の人たちをも変えることのできる方法です。私たちが周りへの親切という賜物を実践するとき、憎しみに満ちたこの世界から抜け出すことができるのです。

隣人なき人々の隣人として (中東A国)

中東のロマ民族は、ある意味、隣人のいない民族です。彼らはのけ者として暮らし、差別に直面し、教育、雇用、資源へのアクセスを拒否されています。 しかし、神様の愛は人間の憎しみよりも常に大きいのです。EHCでは、クリスチャンたちがロマコミュニティの人々のところに行き、技能訓練を主催しています。
「私たちは、将来への希望のメッセージを分かち合っています」と中東A国のチームは言います。 特別支援活動中に、女性たちへ花を贈りました。「この花は、彼女たちが一生の間で受け取る唯一の花かもしれません」とチームのメンバーは語ります。「どれだけ女性たちを大切に思い、尊敬しているのか。そして何より神様の目から見た女性の価値を示す特別な贈り物です。花は小さな物に見えるかもしれませんが、彼女らにとって特別なものとなりました」
私たちが隣人なき人々の隣人となるとき、私たちはキリストを現すことになるのです。そして、周りの人々はそのことに気がつくでしょう。

ご近所のコーヒースタンド (エチオピア)

マスレチャ・ベライフさんは、エチオピアの小さな町、ヒルナの路上でコーヒーを売っています。彼女は何年もコーヒーを販売していますが、生活費を稼ぐのが精一杯。そんな苦境に立たされながらも、彼女は心優しい女性で、地域から愛されています。
マスレチャさんは興味本位でEHCのイベントに参加しました。そこで彼女はイエスの愛を知りました。彼女は深く感動し、自分の人生を主にささげることを決心しました。そして、今までに経験したことのないような平安と喜びを感じたのです。彼女はコーヒースタンドに立ち寄る人々にイエスの愛を分かち合いました。彼女の親切で優しい精神に人々が惹かれ、彼女のビジネスは繁盛しました。彼女は多くの人にキリストに立ち返るよう促し、彼女のコーヒースタンドは地域の人々が集う場所となりました。マスレチャさんがコーヒーを注ぐとき、近所の人たちはイエス様の姿を彼女の中に見るのです。
私たちがマスレチャさんのように隣人に対してキリストを体現する人になることで、福音を伝えるために主に仕えている世界中の仲間であるキリスト者が強められ、備えさせることができるのです!