歴史散歩[4]「いのちのことば社70年史」より

変革の時代に入った文書伝道

1980年代、90年代には特筆すべき大きな出来事があった。一つは、いのちのことば社創立35周年記念出版『新聖書辞典』の販売キャンペーンである。定価18,000円、初版1万部で販売したところ、すぐに重刷することになり、大いに喜び感謝した。
もう一つは、「星野富弘詩画集カレンダー」。グロリア工芸(後にグロリア・アーツと改称)の大嶋社長が来られ、20万部販売の協力を求められた。全国の一般書店およびキリスト教書店での販売を展開した。最初の販売は18万部だったが、東京・御茶ノ水で「詩画展」を開催し、ここでの販売で売り切れとなった。書店での販売だけでなく、関連書籍を含めて「詩画展」での販売を全国に展開していった。こんなに大量の販売を経験したのは初めてのことだった。
02年には、卸部のシステムにコンピューターを導入。多種の管理システムを稼動させた。これによって正確でスピーディな流通を実現した。
また、07年には、日曜日の礼拝に文書伝道の証しと出張販売を同時に行う「文書伝道デー」を開始。さらに09年には、いのちのことば社創立60周年記念事業の一つとして、移動キリスト教書店「ゴスペルボックス」の運行を始めた。両方とも、現在に至るまで、重要な文書伝道の方法として続いている。
一方で2011年以降、直営店の閉店や、同じエリアにある他社キリスト教書店と協議して統合するなど、文書伝道は激動の時代に入ったと言える。お客様が書店に足を運び、店員が受け答えしながら本やグッズを求める買い方から、インターネットで注文する購入方法に大きくシフトしている。
人と人との出会いが少なくなっている時代だからこそ、出会いを求めて出かけていく文書伝道デーやゴスペルボックス、外商による出張販売に注力している。それでも、需要は右肩下がりである。主から託された「福音を伝える」という使命をどのように果たしたらよいか、私たちは祈り求め、探し続け、たたき続けている。