福音点字情報センター便り

見ないで信じる幸い(ヨハネ20:24~29)

福音点字情報センター協力委員長
影山範文

イエス様が死んで3日目によみがえられた日の夕方、そのお姿を弟子たちに現された時、弟子の1人トマスはそこにいませんでした。トマスは仲間の弟子たちがどんなに説明しても、イエス様の復活を信じませんでした。実はほかの弟子たちも、その朝復活されたイエス様に出会ってそれを伝えた女性たちの言うことを信じなかったのですから(ルカ24:10~11)、トマスだけが特別疑い深い人だったわけではありません。

そのトマスのために、主は1週間後、今度は彼を含むすべての弟子たちが集まっている所に現れ、トマスだけに特別に語りかけられました。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。手を伸ばして、わたしの脇腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい」(27節)。なんと優しく恵みにあふれたおことばでしょう。御声が聞こえてくるようではありませんか。

トマスはこれに対して、歴史上最も短く、最も見事な信仰告白をしました。「私の主、私の神よ」(28節)。彼のこの告白に対する主のお答えは、信仰の本質をわかりやすく示したものとして、多くの人の心に深く刻まれています。

「あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ないで信じる人たちは幸いです」(29節)

私はこのみことばに、盲人であることのたとえようもないすばらしさを感じます。「見ないで信じる人たちは幸いです」とは、まさに盲人の現実を示すものです。盲人は自分の目で見ることができないため、それこそ見ないで信じて、多くの人に助けられながら生きているのです。

私は、日本が太平洋戦争に負けた1945年に生まれました。そして、戦後の食糧難で栄養が摂れなかったために、生後18か月で全盲になりました。幸い、小学6年生の時に、姉に連れられて教会に行き、主を信じました。その後の神学校での学びや太平洋放送協会での盲人伝道の働き、さらに牧会の中で、いつも、見ないで信じる幸いを体験しています。

ところでみなさんは、身体の障害の中で、どの障害が生きていくのにいちばん大変だと思いますか。私の知る限り、何の障害もない人のほとんどが、目の見えないことが最も困難な障害と思っているようです。確かに盲人の日常生活は大変で、特に最近増えている中途失明者の苦しみは、筆舌に尽くせないものです。イエス様でさえ、救われなければならない人の最初に盲人を挙げておられます(マタイ11:5)。

その盲人が主を信じて救われたら、信仰の本質である「見ないで信じる幸い」を、単なる観念やイメージではなく、現実体験として味わうことができます。盲人宣教のすばらしさと必要性はここにあるのです。

『聖書 新改訳2017』 点字版 完成感謝礼拝 ご報告

去る1月25日(土)、『聖書 新改訳2017』点字版の完成感謝礼拝をいのちのことば社チャペルにて行いました。点訳委員のボランティアをはじめ、当センターの働きをサポートしてくださっている協力委員、実際に点字聖書を使っている視覚障害の方々、また、弊社のお知らせを見て、来てくださった方々もおられました。礼拝では点訳に関わった方々の証しや、協力委員長・影山範文先生からの力強いメッセージが語られ、主の導きに感謝する時となりました。(相澤)

会計報告 2019年7月1日〜2020年1月31日

■収入の部

献金 3,670,622
点字文書頒布収入 204,199
合計 3,874,821

■支出の部

印刷費 938,405
頒布活動費 1,902,921
事務局費 24,814
合計 2,866,140
当期繰越 1,008,681