不自由の恵み

福音点字情報センター協力委員長
影山範文

今でも教会学校では暗唱聖句を一言一句違えずに言わせているのでしょうか。私が初めて教会学校に行った70年ほど前には、子どもたちはこぞって間違えずに暗唱していたものです。当時は口語訳聖書しかありませんでしたが、十数年後に新改訳聖書が出版され、第2版、第3版、2017と、50年ほどの間に何回も聖書の改訳がなされました。そんな中で聖書の一言一句を覚えることに、あまり意味を感じなくなってきたのも確かですが、一方で、幼い頃、聖書のどのことばがどの書の何章何節にあるかをしっかり記憶させられたのは大きな恵みだったと思うのです。
最近は盲人の中にも、パソコンやブレイルメモなどの機器を使って、聖書のどの箇所でも、自由に、かつ、瞬時に開くことのできる人も少なからずいますが、私は、たださぼっていて、そんな機器を使って読もうとしなかったため、いまだに30巻を超える分厚い点字聖書をそろえ、その中から、時に応じて必要な聖句を探し出している状況です。
若い時に一生懸命みことばを暗記して、それが聖書のどこにあるかを覚えたことは、多くの点で役立っています。固有の問題を抱えて悩んでいる人の相談に答えるときなども、適切なみことばがどの巻の何章何節にあるかを、聖書をとっかえひっかえしながら探すのは大変なことですが、頭に入っていると、容易に示すことができるのです。
さらに、個人伝道のとき、神、罪、救いといった基本的なことを教えるみことばに関しても、それがどこにあるかを記憶していて、聖書を持っている求道者に読んでもらうことができて、大いに役立ちました。ありがたいことです。
どんな障害でも、不自由が多くあるのは事実です。しかし、障害によって与えられる恵みも決して少なくないことを、私は経験しています。これからも、障害ゆえに主から与えられている恵みを数えつつ、証しをしていきたいと願っています。

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会計報告 2023年7月1日〜2024年4月30日
■収入の部

献金 2,211,946
点字文書頒布収入 218,681
合計 2,430,627
■支出の部

印刷費 239,796
頒布活動費 1,701,011
事務局費 324,515
合計 2,265,322
次期繰越 165,305
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