ちぎり絵展を教会で

森住ゆき(和紙ちぎり絵作家)

 月刊誌「百万人の福音」「いのちのことば」「マナ」の表紙絵などに用いていただいたちぎり絵の原画を、地域に向けて、教会の扉を地域に広く開くために用いてほしい、と祈り始めて10年になります。音楽伝道に比べて、教会での絵画イベントはあまり前例がないため、紆余曲折、模索する日々が続きましたが、所属する行田カベナント教会がこれを神様に仕える働きと受け止め、長い間祈りをもって支えてくださっていました。2016年、私の出身教会であるJECA前橋キリスト教会が秋の特別伝道集会として「森住ゆき和紙ちぎり絵展」を開催してくださり、この時のちぎり絵展のスタイルが、今も私の「教会でちぎり絵展」のベースになっています。
 教会の一部を、その教会の状況に合わせてギャラリーに仕立てます。要請があれば作品制作のスライドショーや救いの経緯を交えたトークショー、ワークショップ等を用意します。会場にカフェコーナーを設けて、信徒とお客様が交流を図れる工夫をします。そして、教会の方々が会場での奉仕をワクワクと楽しめるような、明るく元気なディスプレイを心掛けています。教会は初めてという方に、「絵を見るついでにお茶を飲んできた。そこにいたのはごく普通の、でも感じの良い人たちだった。トイレは清潔だった」というような体験と、どこか温かい記憶をもち帰っていただくことが私の仕事だと思っています。
 また私のちぎり絵展は、絵を見ると同時に作品に添えられたキャプションを読んでいただく特徴がありますが(日めくりカレンダー「片隅の花でも」はその一例)、日ごろ切り出しにくい「罪」や「死」などについて自然に話すきっかけが得られた、と言っていただけるのはうれしいことです。
 いのちのことば社から出ていた『アメイジング・グレイス』という本があります。ちぎり絵展において、私の救いの経緯を記したこの本と、ちぎり絵は車の両輪のようなものだったのですが、昨年から品切れとなり困っていました。しかし、これを知った教会の有志の方々が独自の支援基金を設けてくださったことで、先ごろ自費出版(12刷)にこぎつけました。多くの方に祈られ、支えられて、神様への応答の責任をますます感じます。これからも神様から力を頂き、今できること、今日すべきことに力を注ぎつつ、ちぎり絵と共に行けるところまで歩んでみたいと思っています。