楽しい! これも種まき?

日本ホーリネス教団 旭川福音教会 牧師山中智貴

「先生、ポッドキャストでもやってみますか?」と、教会の青年であるK兄のことば。当時、コロナ禍真っただ中で、対面の集会は難しくなっていました。ネット配信を通して最低限の集会を行っていましたが、虚無感を感じ始めていた頃でした。少し落ち込んでいた私にK兄のさわやかなお誘いが、沈みがちな私の心に元気をもたらしてくれました。「ポッドキャスト…?」。聞きなれないワードに、K兄は丁寧に説明してくれました。音声だけなので仕事、作業しながら聞けるということ。ネットを通してお金をかけず、誰でも気軽に情報発信できるということ。ディープで専門的なコンテンツから、気軽に聞き流せるものまでバラエティーに富んだ番組があるというポットキャスト事情を教えてくれました。なんだかよくわからないが、面白そうだからやってみよう、ということになり、二人でその名も「うんちく聖書ラジオ」と名づけて始めました。毎週1回、事前打ち合わせなしのぶっつけ本番で、大好きな聖書から好きなことを互いに語り合い、そのままほぼ未編集でネットに上げるという実に大胆かつ無謀? なスタイルでの挑戦でした。
不透明で混迷を極める時代の中で、何とか主イエスのことばを人々にお届けしたいという思いで、これまで福音書、「使徒の働き」を少しずつ二人で読み進めてきましたが、雑談あり、脱線あり、聖書の沼にはまってしまうこと大ありで、決して整えられ洗練された番組とは言えません。それでも不思議なことにリスナーの方々からメールを頂くようになり、正直驚きました。そのうち、クリスチャンホームで育ったものの、信仰と教会生活から離れていたという一人の方からメールを頂きました。そこには、私たちの番組を一つのきっかけとして主イエスに立ち戻り、洗礼を受け信仰者として主とその教会に仕えていきたいという証し、決意と感謝が綴られていました。その後、その方は関西方面在住にもかかわらず、家族を引き連れて遠く旭川にまで来て、当教会の礼拝に参加し感謝のことばを述べてくださいました。
また、他にも旭川出身で現在は関東で暮らしている方がクリスチャンになられ、たまたま「うんちく聖書ラジオ」を聴いてくださいました。「この番組、実家のある旭川の牧師と信徒の方が運営しているのか」ということで、その方は実家のご両親に伝え、その教会に行くようにと強く勧めてくださったのです。今その方のお父様は、毎週礼拝に来ており、数か月前からは教会での聖書の学びに参加しておられます。お母様は、私の妻が行っている英会話の生徒として教会に来られて、豊かな交わりが与えられています。時には、イギリス在住の方から「クリスチャンではないが、聖書に興味があり番組を聴いています」というメールをいただくこともありました。
主のなさることは実に不思議です。主にあってはピンチがチャンスになり、思いがけないところから宣教の可能性が拓かれていくことを実体験し、主の御名をあがめています。あれから二人で番組を続け、3年目に入りました。相変わらず行き当たりばったりで、計画性のないカオスな番組作りですが、二人で主のことばを楽しみながら、マイペースで私たちにとっての「種まき」を続けています。