変わらぬ使命―福音を伝える

今年、日本は戦後80年を迎えました。日本はアジアへの侵略戦争に加え、無謀にもアメリカとも戦争をしました。敗戦の年1945年には、一般市民を巻き込んだ沖縄での地上戦、各都市への空襲が激化しました。アメリカは、この戦争を早く終わらせるためとの名目で、まったく抵抗のできない一般市民の暮らす街に焼夷弾の雨を降らせ、さらに広島、長崎には原子爆弾を投下しました。これは、一方的な大量虐殺であったと言わざるをえません。
そして、それから5年後の1950年。そのアメリカから、宣教団体TEAMの宣教師たちが来日しました。日本のたましいを愛し、福音を伝えるために遣わされた彼らが中心となり、「いのちのことば社」が誕生しました。宣教師たちは、日本人の識字率の高さに着目し、文書伝道を始めました。設立当初は、すでに存在していた福音文書を仕入れて販売したり、海外の本を翻訳して出版し、価格をつけ、販売しました。販売ルートがまだ整っていなかったため、宣教師たちはリヤカーを改造して本棚を取り付け「福音車」を引いて駅前に立ち、路傍伝道とともに本を販売しました。また、地域の教会を訪ね、福音文書を委託販売し、その後は地域にキリスト教書店を開店して、地域教会の宣教の働きに仕えてまいりました。
創立75周年を迎えた今、弊社は大きな変革期にあります。「福音を伝える」という使命は変わりませんが、そのための主要な方策である文書の出版部数は大きく減少しています。月刊「百万人の福音」は隔月刊に、週刊「クリスチャン新聞」は隔週刊に、また直営のキリスト教書店「オアシス」「ライフセンター」も6店舗となりました。しかし、それでもなお紙の福音文書の必要は確かに存在します。この文書伝道は、今後も知恵を絞り工夫しながら継続してまいります。宣教の担い手である教会に仕えるため、日曜日には職員が教会を訪ねて文書伝道の証しと販売を行う「文書伝道デー」を実施し、その数は年間で150教会ほどに及びます。また、日曜日にスタッフが伺えない教会には「ぶんでんリレー」(委託販売)を提案し、250教会で受け入れていただいています。さらに「ゴスペルボックス」(移動販売車)は、年間で460の教会を訪問しています。出版面でも伝道用書籍や信仰書の刊行を工夫し、働きを継続してまいります。75周年記念として、『新カラー聖書ガイドブック』、『限定復刊』シリーズ、『聖書 新改訳2017 スリム』を発行し、過去の名著も復刊いたします。
さらに、この時代、今の日本人にふさわしい形で福音を届けるために、インターネットやSNSの活用にも積極的に取り組んでいます。その先駆けとして、この冬には新しいポータルサイト「INOKOTO」をスタートいたします。この中で「クリスチャン新聞」のニュースや「百万人の福音」の記事をオンラインで読むことができるようになります。求道者が教会を探すための「クリスチャン情報ブック」、さらに聖書の学びのページも充実させ、クリスチャンの生活に役立つ情報を提供するとともに、信仰を持っていない方々にも聖書の魅力と福音のすばらしさを発信してまいります。今後とも、変わらぬお祈りとご支援を心よりお願い申し上げます。